また、本作がエンタメ界において、多様性という観点で大きな影響を与えられたのではないかと宮川氏は語る。
「ほとんどの出演者がアジア系で、しかも7割日本語という作品がエミー賞を総なめにしたというのは、本当にすごいことだと思うんです。日本人や日本文化ももちろん、今までハリウッドというスケールでスポットライトの当たってなかったようなマイノリティなストーリーや人々などにスポットライトを当てられる可能性を証明できたのではないかなと。多様性という観点で大きなインスピレーションになったのではないかなと期待しています」
そして、今後より多様な作品が生まれてくるのではないかと予想する。
「今年のエミー賞も多様性のある年で、『SHOGUN 将軍』だけでなく、ラテン系の女優さんが女優賞を取ったり、前進するような祝うべきポイントがたくさんありましたが、今後多様性のある作品がどんどん増えていくと思います。『SHOGUN 将軍』がヒットして賞を取ったことは、クリエイターたちにもすごくインスピレーションを与える良いニュースだったと思います」
さらに、日本のエンタメのクオリティの高さを世界に知らしめることもできたと手応えを口にする。
「俳優さんが皆さん素晴らしくて、日本では有名でも北米では知られてなかった方々の魅力が伝わったと思いますし、クオリティの高さからスタッフのプロフェッショナルさも伝わったと思います。実際にいろんな同業の人に聞いても、日本を題材とした作品が増えていて、日本での撮影という話もたくさんあると思うので、これから日本の皆さんはさらに忙しくなっていくのではないでしょうか」
特に時代劇を作ってきた職人たちの存在は、日本にしかない誇るべきものだと語る。
「長年継承されてきた唯一無二の文化や技術は世界のどこにもない、日本だけのものだと思います。時代劇の数が減ってきていたり、引き継いでくれる人材が不足しているとか、いろいろ課題はあると思いますが、日本にしかない素晴らしい技術をいかにつないでいけるか、課題と希望があるのではないかと思います」
また、本作のように日本とハリウッドのキャストとクルーが一丸となって作品を作るということが「今後増えていくと思う」と言い、「それぞれのいいところどりができるわけですから。『SHOGUN 将軍』という大きな規模の作品で、いろんな言語や文化の人たちが一丸となって作って成功したという大きな成功例があることは、ほかのハリウッドのスタジオにとっても前向きに考えるきっかけになると思います」と語った。