3番目に注目されたシーンは19時32分で、注目度77.0%。ききょう(ファーストサマーウイカ)が敵地のど真ん中でひとり気を吐くシーンだ。

藤壺では、中宮・藤原彰子のために和歌の会が開かれていた。赤染衛門(凰稀かなめ)とまひろの詠んだ歌に皆が聞き入っている。あかねの歌を聞いた左衛門の内侍(菅野莉央)が「一段と艶っぽいお歌だこと」と評すると、「恋をしているからかしら」と、あかねは艶やかに視線を藤原頼通(渡邊圭祐)に送った。

女房たちのざわめきをよそに、「清少納言が参りましたが、いかがいたしましょう」と、宮の宣旨(小林きな子)が彰子に告げる。頼通は断ろうとしたが、「よいではないか。通せ。『枕草子』の書き手に私も会ってみたい」と、彰子は面会を許した。

「お楽しみの最中に、とんだお邪魔をいたします。敦康親王様から中宮様へ、お届け物がございまして参上いたしました」「そなたが、かの清少納言か」「お初にお目にかかります。亡き皇后、定子様の女房、清少納言にございます」ききょうは淀みなく彰子に挨拶を述べる。「お届け物とは?」宮の宣旨の問いかけに、「つばき餅にございます。亡き院も、皇后様もお好きであられました。敦康様も、近頃このつばき餅がお気に召して、中宮様にもお届けしたいと仰せになられまして」と、淀みなく答えると、「敦康様はお健やかか?」と、彰子が敦康親王の近況を尋ねた。すると、ききょうは顔色を変え、「もう敦康様のことは、過ぎたことにおなりなのでございますね。このようにお楽しそうにお過ごしなこととは、思いも寄らぬことでございました」と怒りをあらわに言い放った。たちまち重苦しい雰囲気が漂う。

「私たちは歌の披露をしておりましたの。あなたも優れた歌詠み。一首、お詠みいただけませんか?」赤染衛門の提案を、ききょうは「ここは私が歌を詠みたくなるような場ではございませぬ」と一蹴する。「ご安心くださいませ。敦康親王様には脩子内親王様と、私もついております。たとえお忘れになられても大丈夫でございます。失礼します」ききょうは彰子に存念をぶつけると、まひろを一瞥しその場を去った。彰子のために開かれた歌会は、ききょうによってぶち壊しとなった。その夜、まひろは日記に「清少納言は、得意げな顔をしたひどい方になってしまった」と、友人の変わりようを記した。

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「清少納言が安らかに定子さまを偲ぶ日は来るのかな…」

ここは、ききょうの強い怒りに多くの視聴者が息をのんだと考えられる。

ききょうはこれまで、敬愛していた皇后・藤原定子(高畑充希)に続き、その忘れ形見であったよし(女偏に美)子内親王、定子の兄・藤原伊周(三浦翔平)といった親しい人々を次々に失ってきた。そして定子の最愛の夫であった一条天皇もついに崩御してしまい、もはや居場所がない。彰子の催す華やかな歌会は、ききょうにかつての中関白家の栄華を思い出させたのだろう。

SNSでは「清少納言が怒りの刃を向けているけど、大切な定子さまを思うとそんな心もちにもなるよね」「彰子さまがどれだけ敦康親王を慈しんでいても、ききょうにとっては定子さまに取って代わったことで、絶対に相容れないんだよね」「彼女の立場を思えば仕方ないかな」「清少納言が安らかに定子さまを偲ぶ日は来るのかな…」といった、ききょうに同情する投稿が多く集まった。

紫式部が『紫式部日記』で、清少納言を酷評していることはよく知られており、これまでのまひろとききょうの関係性からどのように回収するのかたびたび話題となっていたが、ついに落着した。