タイムテーブルの中で異彩を放っているのが、「粗品ゲーム~日本一不条理なお笑いバトル~」。毎年恒例の深夜のお笑い企画だが、ゲームマスターである霜降り明星・粗品の進行のもと、次世代を担うネクストブレイク芸人たちが、チーム対抗でし烈なバトルを繰り広げる。その内容は、粗品から出される無理難題や“粗品力”を試すオリジナルゲームに挑戦し、「粗品の思考にどれだけ近づけるのか?」を競うという。
『新しいカギ』のレギュラー放送でも、これまで粗品発の企画はなかったが、杉野氏は「テレビで粗品さんの“お笑い脳”が全開になる番組をあまり見てこなかったなと思って提案させてもらいました。ゲームの内容は、粗品さんと半年くらいかけて、めちゃくちゃ会議しました(笑)。企画とキャスティングとのバランスというところで、非常にこだわっていると思います」と、粗品がこの企画に懸ける熱量を明かす。
『R-1ぐらんぷり2019』の優勝特番で、ロケの様子が何度もループする番組を放送して深夜の視聴者をザワつかせた粗品だけに、彼の頭の中を番組に落とし込むのは、スタッフ側も骨の折れる仕事になったのではないかと想像する。それに対し、田中氏は「粗品さんはメディアの特性や分析がものすごく優れていると思っていて、YouTubeとサブチャンネル、X(Twitter)、TikTokと、それぞれのメディアでどういうものをやっていけばいいのかをすごく考えているんです。なので、今回の企画も“『27時間テレビ』の深夜企画にはどのようなパッケージがいいか”ということに対して、僕ら制作側と同じ方向を見ていて、粗品さんの脳みその中を具現化するのが難しいという感覚はなかったですね」とのことだ。
粗品は、生涯収支が億単位になるほど競馬で大勝負に出ることで知られている。『27時間テレビ』では毎年、日曜昼に競馬中継があるだけに、ここでも粗品企画が行われることを期待したいところだ。
「ラブメイト10」「ビートたけし中継」見送りの理由
深夜企画といえば、恒例の「明石家さんまのラブメイト10」が見送りとなり、5年ぶりに『さんまのお笑い向上委員会』が放送される。これは、高校生たちと絡んでいくカギメンバーとコーナーのマッチングを考慮した判断で、「『27時間テレビ』において、さんまさんとカギメンバーで何が一番ハマりがいいかと考えた時に、やはり『向上委員会』だったということに尽きます」(杉野氏)とラインナップを組んだ。
それに伴い、火薬田ドンでおなじみのビートたけし中継も、今年は見送り。矢崎氏は「やはり、たけしさんの中継は『ラブメイト』との掛け合わせの妙だったりするので、火薬田ドンを見て育った世代としては個人的に残念ではあるのですが、今年に関しては『向上委員会』一本で行かせていただくことになりました」と説明している。
●矢崎裕明
1981年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学卒業後、04年にフジテレビジョン入社。『IPPONグランプリ』『まっちゃんねる』などのチーフプロデューサーを歴任。現在は『新しいカギ』『何か“オモシロいコト”ないの?』のチーフプロデューサーを務める。
●田中良樹
1991年生まれ、埼玉県出身。早稲田大学卒業後、14年にフジテレビジョン入社。『アウト×デラックス』のADを経て、『BACK TO SCHOOL!』『関ジャニ∞クロニクルF』演出、『さまぁ~ずの神ギ問』『ホンマでっか!?TV』ディレクターなど、数々のバラエティ番組制作に携わる。現在は『新しいカギ』の演出を担当する。
●杉野幹典
1992年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学卒業後、14年にフジテレビジョン入社。『ワイドナショー』『IPPONグランプリ』『ホンマでっか!?TV』『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』などを経て、現在は『さんまのお笑い向上委員会』で演出、『新しいカギ』でディレクターを務める。