――2019年4月に東京に進出してからテレビ出演も増えましたが、テレビの活動によって成長できたことやプラスになったなと感じていることをお聞かせください。
昴生:テレビに出て皆さんに知ってもらえるようになると、漫才で出て行ったときに最初から受け入れてもらえるんです。若手の子は自己紹介が必要ですが、僕らは自己紹介なく10分出番があったら10分丸々話ができる。それがテレビに出た最大の利点ですね。
亜生:テレビに出ている人を見に劇場に来てくれますし。
昴生:そうなんです。そこを目標にしていたところがあって。ダイアンさんがNGK(なんばグランド花月)で『M-1』の準決勝に出たときに、初っ端のボケで会場が揺れるぐらいウケて、テレビに出ていて受け入れられているからやと思ったので、そこからテレビも頑張ろうと意識するようになりました。
――『M-1グランプリ』では2017年に3位、2018年に4位と大健闘。その後、決勝から遠ざかっていますが、戦いぶりをどのように自己分析していますか?
昴生:決勝に進出した2017年、2018年は、自分ら的にはあまり好きじゃないネタだったんです。完全に『M-1』のために作ったネタで。自分らの中では今が一番いい。どんどん好きになっています。『M-1』はたくさんの人が見てくれるので、今の自分らが好きな状態を見てもらえたらなと思っています。
――自分たちが本当にやりたい漫才をするようになって好きになれたのでしょうか。
昴生:そうですね。自分らが好きな漫才をやっているというのが一番大きいですね。若い時は世に出たいから『M-1』を第一に考えるんですけど、それがしんどくなってきて。2017年、2018年頃はどこに行っても『今年M-1優勝やな』と言われて、めっちゃプレッシャーに。2019年のときに決勝は確実やなと思ったら決勝も行けなくて、2019年で卒業しようと思ったんです。和牛さんもそう言っていたので。なんとなく和牛さんの呼吸と同じような感じがして追いかけていた部分があり、和牛さんが出ないなら意味ないなと。でも和牛さんの漫才を見て『なんで同じ風に思ってたんやろ。同じことしても勝てるわけないから俺らは俺らでまだもがこう』と。15年だけ修行やと思って『M-1』に出ようと決めました。
――亜生さんも異論なく?
亜生:もともと僕からやめようとは言ってなくて、お兄ちゃんがやめようと言ったんです。でも終わったら「やっぱやる」となったので「いいよ」と。僕はなんなら『M-1』好きなので。
昴生:逃げやなと思ったんです。他人の評価ばかり気にして。結果はどうであれ、やってみればええやんって考え直しました。応援してくれている人たちの思いに応えたいという気持ちもありますし。『M-1』を見て「『ミキ漫』で見たネタや」と思ってもらえたら幸せです。
亜生:2回決勝に出させてもらっているだけでありがたいですし。
昴生:ほんまにありがたい。
――出場は続けるも、以前とは違って自分たちが好きな漫才で勝負するように。
昴生:本当にやりたい漫才を、『M-1』のお客さんとかではなく、今日のお客さんに向けてやる。だから僕らは『M-1』用のネタなんてここ何年ないです。
――決勝に進出したときはしんどかったとおっしゃっていましたが、好きな漫才をするようになって楽しめるようになりましたか?
昴生:あのときより格段に楽しいですし、好きなことができていて幸せです。初めて決勝に行った翌年に全国ツアーを始めたんですけど、『M-1』のことを考えすぎて、全部『M-1』用のネタと思ってやったら、最初の会場でめっちゃスベったんです。そのトラウマがあるから怖くて、『M-1』用として考えるのはやめようと思いました。
亜生:『M-1』を意識していたときは、お客さんの前で稽古を見せている感じでした。いかにうまいことをミスせず言うか。だから当時はガチガチでした。
――今年の『M-1』はどんな意識で迎えようと考えていますか?
昴生:全然考えてないです。前日ぐらいになって焦るんですけど、『M-1』のために調整するつもりはないです。自分たちらしい漫才をして、それがうまくハマったらいいなぐらいの気持ちで。