フジテレビ本社の大階段では、大規模なミュージカルシーンも撮影。今年1月クールに放送され、吉田羊も出演したドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS)でもミュージカルシーンが話題となったが、「あれを撮ったのは去年の11月25日なんですよ。『心はロンリー』では、わりと音楽ネタをやっていたんで、『不適切―』も面白いなあと思いながら、あれを見るたびに“俺らは11月にもう撮ってるんだ”という悔しさもあります(笑)」と強調する。
そのミュージカルで流れる曲のタイトルは「再婚サイコーブギ」。これは、「NHKの朝ドラ『ブギウギ』が今年の3月まで放送されることが分かっていたので、ブギウギのリズムの曲にしようと、あえて狙いに行きました。昨年の6月には決めていました」という。
この曲を、かつて『めちゃ×2イケてるッ!』の「歌がへたな王座決定戦」で衝撃の音痴を披露した山口もえが歌唱しているが、「再婚して幸せそうで皆さんが知ってる方ということでお願いしました。寒い中一生懸命やってくれて、ご主人(爆笑問題・田中裕二)がさんまさんに“妻が喜んでました”とお礼してくれたそうです」という後日談もあった。
「ぜひとも地上波で見てほしい」と訴える理由
音楽を使ったギャグはほかにも多数登場するため、「ぜひとも地上波で見てほしいです」と訴える三宅氏。配信の場合、権利の問題で曲が差し替えられ、ただでさえ伝わりにくいギャグの意味が全く通じなくなってしまうことがあるためだ。
女性とのいい感じシーンで流れる曲は、いつもさんまが選ぶことになっており、「その当時付き合ってたおネエちゃんのアイデアで決まる」らしいが、第11作では、さんまと飯島直子が浴衣姿で縁台に座っているところで、映画『ボディーガード』のホイットニー・ヒューストンが歌う主題歌「I Will Always Love You」をかけ、サビの「♪And I(エンダーーイ)」のところで縁台からズームアウトするというネタを仕掛けた。
しかし、ビデオ化の際は別曲に差し替えられることに。そこで、「実は、ここはホイットニー・ヒューストンの『ボディーガード』の主題歌が流れています。サビの“♪エンダーーイ”というところで、縁台からズームアウトしてるギャグなんです」という説明テロップを入れてネタバラしをすることになったことを、苦笑いしながら振り返っていた。
●三宅恵介
1949年生まれ、東京都出身。千代田企画代表取締役。慶應義塾大学卒業後、71年に制作会社・フジポニーに入社し、機構改革に伴い80年にフジテレビジョンへ転籍。『心はロンリー 気持ちは「・・・」』のほか、『スター千一夜』『欽ちゃんのドンとやってみよう!』『笑ってる場合ですよ!』『オレたちひょうきん族』『ライオンのいただきます』『ライオンのごきげんよう』『タケちゃんの思わず笑ってしまいました』『FNS27時間テレビ』『あっぱれさんま大先生』『タモリ・たけし・さんまBIG3!世紀のゴルフマッチ』『たけし・さんまの有名人の集まる店』『明石家マンション物語』など、フジの代表的なバラエティを演出してきた。現在は『はやく起きた朝は…』のプロデューサー、『明石家サンタの史上最大のクリスマスプレゼントショー』の演出を務めている。