いざ、見学場へ!
電車で見に行くことにした筆者であるが、不安だったのは、その肝心の電車に乗れるかどうか、ということ。JRきのくに線はローカル線なので、1編成が2両しかない。紀伊勝浦駅は始発駅ではないので、ホームに早く行って待っていたとしても、車輌が満員でギュウギュウの状態だったら、乗れるとは限らない。
しかも、11時台の打ち上げに間に合うためには、7:16、9:09(臨時)、10:05のどれかに乗らないといけない。臨時便を含めて3本しかなく、後ろになるほど混むことを考えると、一番最初の7:16にワンチャン賭けるしかない。
そして迎えた打ち上げの当日(3月9日)。とりあえず乗れなかったときのバックアッププランをいくつか考えつつ、30分前に駅に到着。ドキドキしながら待っていたが、到着した電車の車内は、ちょっと混んでいる程度。駅で並んでいた20人くらいは、全員無事に乗ることができた。
車窓から見える南紀の綺麗な風景を楽しみつつ、電車は15分ほどで紀伊浦神駅に到着。ここは無人駅だが、車内に改札の端末があるので、スマホのタッチ決済が利用できた。
駅から旧浦神小学校までは数100mしかなく、歩き出したと思ったらすぐ到着。普段、種子島での打ち上げ取材に慣れている身からすると、電車に乗って、駅から歩いてすぐ見学場に行けるというのは、なんだかとても斬新な体験だった。
ただ、今回は「電車で行く」という体験をするためにこの方法を選んだのだが、満員で乗れなかったときのリスクを考えると、ちょっと不安がある。それに、電車には帰りが大混雑になるという問題もある。やはり、確実に乗れるパーク&ライドの方を、筆者としてはオススメしたいと思う。
打ち上げを待つ!
早く着いたので打ち上げまではまだ3時間以上あったが、待ち時間中の買い物なども、打ち上げ見学の楽しみの1つだ。会場のグラウンドには出店がたくさんあり、カイロスの限定フィギュア、地元の銘菓や特産品などが売られていたほか、郵便局の出店では、記念消印のサービスも行われていた。
カイロスの射点は、海岸近くの谷筋にあって、周囲に直接見える場所は残念ながら無いのだが、グラウンドの前方には、大型スクリーンが設置されていて、そこに中継の映像が流れるようになっていた。打ち上げ前は中継でロケットを見て、点火して上昇を始めたら、すぐ後ろの山から、ロケットが飛び出すはずだ。
ただ、気をつけたいのは、射点が見えている場合に比べ、見えていない場合は、撮影がやや難しいということ。ロケットがどこから飛び出すか予測してカメラを構えるしかないので、ズームを狙いすぎると、枠から外してしまう恐れがある。ややワイド気味にした方が無難だろう。
しかも、カイロスの打ち上げは今回が初めてのため、どこから飛び出てくるのか、正確な位置は誰にも分からない。そこで、筆者は事前に、VRChat内に周辺の地形を入れて、打ち上げがどこからどう見えるのか再現を試み、事前に確認しておいた。その「答え合わせ」も、今回の取材の目的の1つである。
着いたときにはまだガラガラだったグラウンドも、11時1分12秒の打ち上げ時刻が近づくと、満員の状態に。しかし、会場でカウントダウンが始まり、ゼロになっても、ロケットは上がらず。直後に、11時17分12秒への変更がアナウンスされると、固唾を呑んで見守っていた観客からは笑いが起きた。
そして2回目のカウントダウンが始まり、今度こそ打ち上がるかと思われたが、今回も点火せず、そのまま延期が発表された。ロケットの打ち上げには延期が付きもの。ただ、筆者などは慣れているので良いのだが、今回は土曜の打ち上げということで、大勢の子供達が見に来ていて、ちょっと可哀想だった。