順調に推移する中での課題の1つが、「無料」であることの認知度だ。「TVer」という名称の認知度は7割に達しているが、その中でも無料サービスであることを知っているのは4割にとどまるという。
その対策として、TVerの告知をする際には「無料」の文字を付記。TVerのロゴの横に「無料」と入っているものに差し替えているほか、番組の最後で「もう一度見たい方はTVerで」と言っていたのを、「無料サービスのTVerで」と強調する番組も増えた。フジテレビでは、ガチャピンとムックが「♪TVer TVer タダタダタダ」と、「無料(タダ)」を連呼して歌う告知スポットを放送している。
配信番組数が増えれば増えるほどサービスとしてボリュームが増す一方、それに比例する形で埋もれるコンテンツが出てきてしまうジレンマもあるが、そこについては、「レコメンドの精度をどれだけ上げられるか、画面上の見え方をどう表現していくかというとことで、まだ工夫の仕方があると思います」と着手していくことを示唆。
特に、埋もれてしまいやすい地方ローカル局の番組については、「“こういう面白い番組が全国にありますよ”とレコメンドや特集でコンテンツに脚光を当てることが理想です」と見据える。『かまいたちの掟』(さんいん中央テレビ)のように、TVerでの全国配信を意識して企画開発した番組があるほか、「企画として“TVerの再生回数を上げるにはどうすればいいのか?”と検証をするような番組もあって、すごくありがたいなと思います」というだけに、そうした各局の姿勢に応えていきたい考えだ。
スポーツ、アニメ、報道・情報などジャンル拡張へ
将来的に、「エンタメや情報を届ける国民的なサービスにしていかなければいけない」という使命を掲げる中で、「とにかくユーザー数を伸ばして、ドラマやバラエティから、スポーツ、アニメ、報道・情報といったところにもジャンルを拡張したいと思います。それが全部あるのが、みんなの思っているテレビだと思いますので」と構想。
現状、リアルタイム配信はGP帯のバラエティ・ドラマが中心となっているが、災害や大きなニュースなど、“何かが起きたときにTVerを見る”というツールになってこそ、国民的なサービスとも言え、「やはり日々使ってもらうものにするために、報道というのも1つできることがあるのかもしれないと思います」と可能性を語る。
ラジオにおけるradikoのように、ほぼ全ての番組をリアルタイム配信し、見逃し視聴できるようにするのは“ジャンル拡張”の1つのゴールだが、「テレビの番組をただ並べるというだけではなく、配信だからこその見せ方があるかもしれないという思いもあります」とも。radikoでは行っていないオリジナル番組の制作は、その解につながるのかもしれない。