――皆さんが長い期間かけ、ものすごい努力を重ねてこの作品を作り上げられたことがとても伝わってきましたが、改めてこの作品がご自身にとってどんな経験になったかお聞かせください。

北村:間違いなく、自分が経験してきた作品の中で1つの役と向き合う時間が長くて、すごく有意義な時間でした。自分1人の経験にならないといいなという思いがあり、俳優・北村匠海の経験を飛び越えて、1つの作品とこれだけ向き合ってこんなものができたということが、見てくださる方、そして、同じ業界の方たちにも一発与えられたらうれしいなと。今後役者として作品とどう向き合っていくかという価値観を変えてくれた作品になりました。

――役者さんにも作り手さんにも刺激を与えそうですね。

北村:本当にそうなってほしいなと、それぐらいの思いでみんなと作ったので。自分たちにとってとてつもない作品なのは当たり前で、そこを飛び越えていってほしいという願いがあります。

志尊:この規模感で、この期間で作る作品は今までなかったですし、全世界配信ということでたくさんの人に見てもらえる、こういう大きなチャンスってないなと思いました。普段の日本の作品にも生かせたらいいなと感じる部分もあり、かといって全作品こうなるべきとは思っていなくて、できる範囲でどうやって期間や向き合っていく時間を作っていくか……今までにない経験をさせてもらえたからこそ、いろんなことに意識を向けて還元できる未来になったらいいなと。これだけ時間と労力をかけて作った作品が報われて、日本のエンタメが評価されることや間口が広がることは絶対にプラスになると思うので、それを願いながら必死にやっていました。

本郷:今まででは考えられなかった規模感で、すごく贅沢な環境でお芝居をさせていただけたなという思いがあります。出来上がったものを見ても、エンドロールがめちゃめちゃ長くて、これだけの人が携わっているんだなと衝撃を受けました。そして、吹き替えでいろんな言語に変えてみたら、言語によっては飛影の声がめっちゃ野太かったり、面白いなと。吹き替えしてくださった人たちもしっかり役作りをして挑んでくれているでしょうし、目に見えてないところの大きさも感じられ、すごい作品に携わらせていただいたなと思いました。

上杉:俳優としてやることはどの作品でも変わりませんが、時間があるというのはメリットしかなくて。全部がそうであるべきではなく、やれる範囲でやることで出る良さも絶対あると思います。ただ、こういう環境を知った上で戦えない環境に行ったら、心が荒むし、苦しさも感じると思うので、スタンダードは何個かあっていいと思いますが、これはスタンダードとして確立させるべきだと思う環境だったので、僕らも声を出していかないといけないと思っています。一個こういう環境が出ないと誰も背中を追えないので、ここからなのかなと。期待を感じる作品になりました。

■北村匠海
1997年11月3日生まれ、東京都出身。2008年に映画デビュー。映画『君の膵臓をたべたい』(17)でW主演に抜擢され注目を集める。近年の主な出演作は、映画『サヨナラまでの30分』(20)、『さくら』(20)、『東京リベンジャーズ』シリーズ(21・23)、『明け方の若者たち』(21)、『スクロール』(23)、『法廷遊戯』(23)、ドラマ『教場』(21、23)、『ナイト・ドクター』(21)、『名探偵ステイホームズ』(22)、『星降る夜に』(23)など。
■志尊淳
1995年3月5日生まれ、東京都出身。2011年に俳優デビュー。ドラマ『烈車戦隊トッキュウジャー』(14)でライト/トッキュウ1号役にて注目される。NHKドラマ『女子的生活』(18)の演技で同年の文化庁芸術祭テレビ・ドラマ部門放送個人賞などを受賞。近年の主な出演作は、映画『さんかく窓の外側は夜』(21)、『バブル』(22、声の出演)、ドラマ『極主夫道』(20)、『青天を衝け』(21)、『らんまん』(23)、『フェルマーの料理』(23)など。
■本郷奏多
1990年11月15日生まれ、宮城県出身。2002年に俳優デビュー。近年の主な出演作は、映画『鋼の錬金術師』シリーズ(17、22)、『キングダム』(19)、『Diner ダイナー』(19)、『シン・仮面ライダー』(23)、ドラマ『麒麟がくる』(20)、『カムカムエヴリバディ』(22)、『クライムファミリー』(23)、『姪のメイ』(23)、『ゼイチョー ~「払えない」にはワケがある~』(23)など。
■上杉柊平
1992年5月18日生まれ、東京都出身。2015年に俳優デビュー。近年の主な出演作は、映画『サヨナラまでの30分』(20)、『モエカレはオレンジ色』(22)、『シン・仮面ライダー』(23)、『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』(23)、ドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(20)、『麒麟がくる』、『24 JAPAN』(20)、『神様のカルテ』(21)、『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(23)、『ワンルームエンジェル』(23)など。

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