レーダー

自動車向けには衝突防止などで広く使われ始めているレーダーだが、最近は室内監視とか監視カメラとの連動、ドローンなど幅広い分野で利用されている(Photo08)。

  • スマートフォンへの実装はPixel 4で行われた

    Photo08:スマートフォンへの実装はPixel 4で行われたものの、これに続く話は今のところ無いとのこと。まぁ実際聞かない

PSS事業部では、このレーダーをPresence Detection(存在確認)用途向けにもっと売り込んでゆきたい構えであり(Photo09)、民生向けには24GHz帯と60GHz帯の2種類をラインナップしている(Photo10)。

  • ボット掃除機などは障害物の確認に使う

    Photo09:例えばラップトップなら、マシンの前に人が居ない時には画面を落としてロックし、人が戻ってきたら画面を戻す、なんて動作にレーダーをつかうことができる。ロボット掃除機などは障害物の確認に使う格好だ

  • 60GHz製品の場合、右端の2Tx/4Rx以外すべてアンテナがチップ内に実装されているのが特徴

    Photo10:60GHz製品の場合、右端の2Tx/4Rx以外すべてアンテナがチップ内に実装されているのが特徴である

実際レーダーチップ自体は非常に小型(Photo11~13)であり、実際動作デモでもレスポンスは良好だった(Photo14)。

  • コンパクトな1T1RのBGT60LTR11AIP

    Photo11:非常にコンパクトな1T1RのBGT60LTR11AIP

  • 1T1RのBGT60UTR11AIP

    Photo12:同じく1T1RのBGT60UTR11AIP

  • 1T3RのBGT60TR13C

    Photo13:1T3RのBGT60TR13C。ところで評価基板が全部AtmelのMCUが載っているのはどうしてなのだろう?

  • 動作デモ

    Photo14:動作デモ。センサーの前に人が立つと、即座に人が居る事が検知される

60GHz帯ということで検知距離は数メートルの範囲だし、屋外設置(例えば監視カメラと組み合わせて、何かが近づいてきたら撮影を行うなど)には向いていない(そうした用途には24GHz帯レーダーの方が向いているとのこと)。また複数を組み合わせてPhased Arrayを構成するのは難しい(アンテナを外付けにしないといけない)一方、動きの監視などにはむしろ向いているということで、Presence DetectionやMotion Detectionなどの用途に提案してゆくという話であった。

3D ToFセンサー

ToFセンサーそのものは要するに光を照射し、それが対象物に反射して戻ってくるまでの時間を計測する事で距離を測定する仕組みである(Photo15)が、InfineonはこれをほぼVGAサイズで計測できる。

  • 光源は赤外LEDなので色の認識はできない

    Photo15:光源は赤外LEDなので色の認識はできない。出力に色がついているのは、測定距離に基づく(例えば近距離は赤、遠距離は青、中間が黄色とか緑)ものである

要するに面で距離を測定できる(Photo16)のが強みである。

  • 実際の測定例

    Photo16:実際の測定例。人の上半身というかバストアップを撮影した例。これがかなりのフレームレートで測定できる

ToFセンサーそのものは多く存在するが、基本1次元での測定なので、ある程度の範囲を測定したい場合はセンサーそのものを振る形になる(自動運転で利用されるLiDARがこの代表例である)。これに対して3D ToFセンサーでは一回の測定である程度の範囲をカバーできるので、応用が広がることになる。具体的にはPhoto17の様にいくつもの分野で利用用途が考えられる。

  • Scanning & measuringにも使える

    Photo17:Scanning & measuringにしても、この手のものだからそこまでの精度が必要ないからこそ使えるという話でもある

実際センサーモジュールはかなり小型(Photo18)であり、それでありながらかなりのフレームレートで距離の測定が可能となっている(Photo19)。

  • 3D ToFセンサーモジュール

    Photo18:左端のレンズとその下の赤く発行しているLEDまでが3D ToFセンサーモジュール。その横は処理部なので必ずしも一体化する必要は無い

  • これはカメラを構えてこの画面を撮影しようとしている筆者を測定したもの

    Photo19:これはカメラを構えてこの画面を撮影しようとしている筆者を測定したもの

例えばロボット掃除機向けお掃除用マップ作製とかにはこれで十分な精度があり、しかも測定を極めて迅速に行えるが、ToFセンサーが光の往復時間の測定をベースにしている以上、時間解像度がそのまま距離の解像度に直結する関係で、精度は1~2cmオーダーとのこと。なので、例えば3D Scannerなどの用途とか、あるいは物体の表面平滑度の測定などには精度的に難しい。あくまでそこまでの精度が要らない用途向け、という話であった。