1年以上かけて榊原康政を演じてきたが、途中で役に対する意識が大きく変わったという。
「最初のほうは史実にとらわれすぎていたところもあって、こう見せなきゃいけないのかなと思っていましたが、ある段階から、今の自分とリンクさせながら作っていくのが今回の僕の小平太であり康政だなと考えが切り替わりました。成長させていかないといけないし、年齢の表現はちゃんとしていかなきゃいけないので、そういうところは自分なりに考えましたが、どう見せるかというより、大事なのは内面から何が出てくるかだと思いました」
康政を演じ切った今、満足できているかという問いには、「悔しい瞬間もありましたし、思い通りにいかないこともありましたが、そういう瞬間だって小平太にもあったかもしれないとリンクさせていき、最終的には楽しく終われたのでよかったです。満足はしてないかな。でも楽しく終われたということに関しては満足しています」と答えた。
また、役を自身とリンクさせながら演じることで、「康政は半分自分のように感じていた」と言い、「大河ドラマならではですが、1年以上も演じていると自分もその間に成長するわけで、それを投影させていたところがあるので、一緒に成長していく感じでした」と振り返る。
初期の頃は、友から具足のパーツをもらい集めて作ったという「ちぎれ具足」の衣装が話題を呼んだ。
「すごく時間がかかるし、早くちゃんとした具足を着たいなと思っていました(笑)。ただ、チャーミングでしたし、実際そういう史実もあって、その人を表しているので、役を演じる上でヒントになってありがたいという気持ちと、準備が大変だなという気持ちと両方でした」
■“殿”松本潤が現場に入ると「自然と康政に入りやすかった」
また、家康役の松本潤によって、より康政に入ることができたと感謝する。
「小牧・長久手の戦いで殿とやりとりしているあたりからヒリヒリする感じがあり、緊張感もありました。当時、家康公が背負っていたであろう何かを本当に背負っているような、松本さん演じる殿がすごくリアルに見えて、一緒にお芝居していて楽しくて、松本さん演じる家康が現場に入ってくると自分も自然と康政に入りやすく、助けられたなという印象です」
さらに、「途中から松本さんの存在そのものが『家康だ』『殿だ』と思えたんです。殿が変われば家臣も変わるので、殿がいたからというのはずっと1年間ありました。家康があるからの康政だったと思うし、家康という人の存在感、空気感を松本さんが背負って持ってきてくれたことが一番大きかったと思います」と語った。