■葛岡碧のポージングを参考に
――今もなんですね! そんな緊張感もあり、とりあえず1年やってみようと思っていたというモデルの仕事ですが、それから10年以上が経った今もなお、第一線でご活躍されています。改めて、キャリアを振り返ってみて、いかがですか?
最初、『AneCan』にモデルとして起用してもらったんですけど、『AneCan』に出たことによって、他のいろんな雑誌にも出られるようになって。モデルって、ファッション撮影に向いたヘアスタイルがあるんですけど、当時の私はそんなことも全然知らなくて、こけしみたいな髪型で(笑)。そんな私を、『AneCan』の編集長と副編集長が美容院に連れていって、美容師さんに「いい感じにしてあげてください」とお願いしてくれたり、ポージングが全然できなかったときは、編集部に呼んでくれて、勉強のための資料を見せてくれたり、お忙しかっただろうに、何も知らない私を育ててくださって、本当に感謝しています。
――韓国と日本でのスカウトに、編集部の方々とのエピソードと、ドラマのように美しいストーリー展開ですね。ポージングを身につけるのは大変だと聞くので、愛甲さんが壁にぶつかるシーンも想像できました……。
そういうときは編集部に足を運んで、先輩の写真を見せてもらったり、“コソ練”してました(笑)。あとは、先輩と一緒に撮影するときは、「まねしよう」と思って、ずっと見てましたね。「すごい見られてる」と思われていたかもしれません(笑)。
――特に参考にしていた方はいらっしゃいますか?
葛岡碧さんですね。『AneCan』に入ったとき、私が一番年下で、周りは雑誌で見ていた方々ばかり。お話させてもらうのも恐れ多くて、借りてきた猫状態になっていたら、碧さんが話しかけてくださったんです。碧さんは優しくて、ポージングもすごく上手で、ずっと憧れの方。今も仲良くしていただいていて、本当に感謝している先輩の一人です。
■『ビジネスクリック』を3年半担当
――モデル以外のお仕事だと、経済番組『ビジネスクリック』(TBS系)で、愛甲さんのことを知ったという人も多いのかなと思います。
放送時間は短いんですけど、生放送で、難しい用語もたくさんある原稿を読むっていう、私からしたらすごいハードルが高いお仕事だったのですが、いい経験をさせていただいたなと思います。最初の頃、プロデューサーの方が毎回、番組が終わったあとに一緒に練習してくださって、ここでも育ててもらったという感じがあって。“居残り組”は私だけだったんですけど、たくさんのことを教えていただいて、3年半務めさせていただきました。
――愛甲さんは宮崎出身ということもあり、標準語のイントネーションに苦労されたとか。
そうなんですよ! 宮崎弁って、「〜やったとよ」って語尾が上がるんですよ。
――かわいい!
ありがとうございます(笑)。でも、経済番組にはふさわしくないじゃないですか。私自身、緊張したらあんなに宮崎弁が出ることも知らなかったので、驚きでした。逆に、意識的に宮崎弁を喋ろうと思ったら、うまく喋れないし、難しいです(笑)。
――標準語と方言の両方を話せると、そんな苦労もあるんですね(笑)。では最後に改めて、写真集のPRをお願いします!
写真集のカバーをとると、実は、本体表紙に違うカットが隠れていたり、写真集タイトルの題字が直筆だったり、エッセイも書いたり……私のこだわりが詰まった一冊なので、ぜひお手にとって、見ていただけるとうれしいです!
愛甲千笑美(あいこう・ちえみ))
1991年11月6日生まれ。宮崎県出身。『CLASSY.』(光文社)、『美人百花』(角川春樹事務所)、『VOCE』(講談社)、『andGIRL』(DONUTS)、『MAQUIA』(集英社)、『美的』(小学館)など、数々の女性ファッション誌・ビューティー誌で活躍中。2015年から3年半にわたり、経済情報番組『ビジネスクリック』でキャスターを務めた。8月28日、1st写真集『会いたくなった?』(KADOKAWA)を発売した。