――そのほか、27時間を振り返って印象的な場面はいかがでしょうか?

挙げればキリがないですが、『チームDEファイト』での松本人志さんと大悟さんの「あっち向いてバズーカ」の対決は最高でしたよね。明石家さんまさんの独壇場の笑いはいつもながらさすがでしたし、深夜企画で川島(明)さんが芸人を束ねる采配は改めてすごいなと思いました。

『めざましテレビ』では、深夜企画の流れで山内(健司)さんが“リアルめざましくん”として時報を読む遊びをしたんですが、普通は情報番組であんなことやらせてもらえないです。でも、チーフプロデューサーが同期の高橋龍平で、そのよしみからかOKしてくれて。MC3組のブレイクまでの軌跡を取材した「ココ調」の取材力も素晴らしかったです。

『FNS逃走中』は、通常放送ではなかなか見られない面白さがありましたよね。大悟さんがハンターに捕まるシーンは別格でした。『逃走中』は、FCC(フジクリエイティブコーポレーション)チームが築き上げてきたゴリゴリの世界観の中で普段制作されているんですが、演出の庄司(裕暁)Dが“27時間テレビならではの特別ルール”をいくつも作ってくれて。通常放送では、「スペシャルハンター(ナダル、ZAZY)」は放出してくれないですから。あと、滝行の流れからのアンガールズ田中(卓志)さんと山内さんのやり合いは、何度でも見たくなるシーンですね。

『ナゾトレ川柳』は、僕が若手のときに『ペケ×ポン』をずっとやっていたので、自分が総合演出をやる『27時間テレビ』でその光景を見られたときは、特別な気持ちになりました。上田(晋也)さんのお兄様とトシさんのお兄様もわざわざ来ていただいて、本当にありがたかったです。佐藤健さんのスター性がより一層際立ちましたし。

“真剣勝負”という意味では、『100kmサバイバルマラソン』『400m走生サバイバル』ですね。いわゆる“お笑い”ではありませんが、人が本気になる様を想像以上に映すことができました。自分は元々スポーツ局志望で入社した人間なので、『27時間テレビ』という大舞台であの激闘を放送できたのは感慨深いです。

――生放送の本番が終わって、その後のMCの皆さんの様子はいかがでしたか?

当日にFNS系列局の皆様も含めた軽い打ち上げがあったんですが、MC6人はすがすがしい顔をされてました。やりきった手応えがあったんだと思います。実際、見ていてずっと面白かったですから。

■「全員参加」だったからこその円滑進行

――今回は、フジテレビのバラエティ制作センターが初めて全員参加した『27時間テレビ』ということでしたが、改めてやってみていかがでしたか?

この方針は、当時部長の中嶋(優一、現・編成部長)と、室長の戸渡(和孝)が決めて、僕は当初「そうなんですか」ぐらいな感じでしたけど、実際フタを開けてみると全員参加じゃなかったら成立しませんでしたね。むしろ、今までの『27時間テレビ』ってどうやって作ってたんだと思うくらい大変な作業で。

それぞれのコーナー担当以外にも、MC一人ひとりに『トークィーンズ』『坂上どうぶつ王国』『千鳥のクセスゴ!』などの総合演出、チーフプロデューサークラスの人間がずっと付いていて、移動の合間に演者さんをケアしてくれたり、要所要所で「武田さん、ここどうします?」と聞きに来てくれて。全員参加だったからこそ問題なく円滑に進められたと思います。

あと、放送前のインタビュー記事を見て、「僕の名前を載せてくれませんでしたね」と五十嵐(元)Pが恨み節を言っていたので、以下はカットせずお願いします。五十嵐Pは、お金の管理から、華原朋美さんのキャスティング、NHKさんとの向き合い、スタッフへの鼓舞、自身の体調管理まで獅子奮迅・八面六臂の大活躍でした。「もし彼がいなかったら…」と想像するだけでゾッとします。