本作の主人公・真治が絶望を味わうも次第に希望を見出していくことにちなみ、大きな壁にぶつかるも乗り越えた経験を尋ねると、ドラマ『コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-THE THIRD SEASON』(2017)を挙げた。

「西浦(正記)監督から表情についてたくさん指導を受け、くじけそうになったことが何回もありました。どうすればいいのか全くわからない暗闇の中に落ちた感覚になりましたが、粘り強く指導してくださって乗り越えることができました。今でもあのときの情景が広がるぐらい印象に残っています」

『コード・ブルー』以降、『SUITS/スーツ』シリーズ(フジテレビ/18・20)や『六本木クラス』(テレビ朝日/22)など数々の作品に出演し、『モトカレマニア』(フジテレビ/19)ではゴールデン・プライム帯ドラマ初主演を務めるなど、女優として活躍の幅を広げている。

「『コード・ブルー』を乗り越えられたというのが自分の中で大きかったなとすごく思います。そして、『コード・ブルー』が転機になって、いろんな作品や役に出会うことができたので、すごくありがたいなと感じています」

そもそも新木は、小学生のときにスカウトされたことをきっかけにデビュー。高校3年生のときに「大学2年生までに芸能界でやっていける目途が立たなかったら、目標を切り替えて就職しよう」と自分の中でデッドラインを決めたという。

そして、期限として設定していた大学2年生のときに『non-no』の専属モデルに抜擢され、そこから女優の仕事も少しずつ増えていき、芸能界で続けていく決意をした。

「自分の中で、まだここでは終われない、もっとやりたいという気持ちが芽生えたので、納得がいくまで進もうと決めました。ノンノモデルは人生を大きく変えてくれたターニングポイントだなと思います」

節目節目でしっかりとチャンスをつかみ、飛躍してきた新木。この『SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してる』も今後の活動につながる学びの多い作品になったという。

「今回、悲しいシーンと喜びのシーンのコントラストが激しく、1日の中で楽しい撮影と、苦しい、悲しいという対極の表現をしなければいけないことが多かったんです。今までだったら不安に押しつぶされていたと思いますが、『やれる』と自分を信じないと乗り越えられない役柄だったので、やるしかないと。自分を信じることが今までできてなかったということにも気づけて、すごくいい経験になりました」

そして、「今までにない感情を引っ張ってくることができたり、自分について『こういうこともできるんだ』と知るきっかけがたくさんあり、いろいろな役に向き合っていく自信がつきましたし、これからも頑張っていけそうだなと思える作品になりました」と語った。

転機となった『コード・ブルー』で共演した山下と、同じように自身にとって大きな経験になった作品で再び共演するという縁も感じたという。

「今年30歳になるという節目の年でもあるし、そんなときに役者人生の転機になった作品でご一緒した山下さんとまたご一緒できるなんて、素敵なご縁だなと思いました」