近年、ドラマや映画で主演やヒロインを務めるなど、モデルのみならず女優としても大活躍の新木優子。映画『SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してる』(Prime Videoにて配信中/ディレクターズカット版劇場公開中)では、生まれつき聴覚障がいがあるヒロインを演じ、主演の山下智久との劇場版『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(2018)以来5年ぶりの共演も注目を集めている。新木にインタビューし、本作での役作りや山下との再共演、また、自身の転機や今後の目標について話を聞いた。

  • 新木優子 撮影:加藤千雅

本作は、次第に目が見えなくなる病を患った漫画家・泉本真治(山下智久)と、彼を支える生まれつき聴覚障がいがある女性・相田響(新木優子)の切なくも温かいラブストーリー。『私の頭の中の消しゴム』のイ・ジェハン監督が手掛けた。

新木は、完成した作品を見たときに人生において大切なものとして、「幸せ」や「愛」など普遍的なテーマについて考えたという。

「答えのないテーマですが、幸せや愛について考えることは自分や周りの人を大切にすることにつながっていると感じました。また、そういったテーマについて誰かと話すことで自分の考えを改めて知る機会にもなると思ったので、皆さんにとってもこの作品がそういうきっかけになったらうれしいです」

生まれながらに耳が聞こえない響を演じるにあたっては、試行錯誤しながら耳が聞こえない感覚をつかんでいった。

「聴覚が不自由というのを表現するために、どうしたらそのような体験ができるのか試行錯誤しました。完全に音をふさぐことはなかなか難しく、耳栓をしても聞こえるし、自分の声も感じ取れてしまう。音が全く聞こえない世界を突き詰めていったときに、水の中に入ったときの状態が一番近いのかもしれないとたどり着き、お風呂で潜ったりしてイメージしました」

演じる際には、人と接する際に「相手から目を離さない」ということも意識。

「私は考えながら話すときに相手の顔よりも空間を見て考えたりすることもあるのですが、耳の不自由な方はずっと相手の目を見て、相手がどう感じているのか見ていると知り、すごく意識しました。そういったことをつかみ取る作業が一番繊細で苦労しましたが、響という役を通して学ぶことができました」

響と真治のやりとりにおいては、山下によって引き出される形で響を作り上げていったという。

「真治が山下さんじゃなかったら全然違う女性像になっていたと思います。山下さんだから素直に甘えられたというか、手をつなぎたくなったときにつなぐなど感情に任せるシーンでは、響としてこうしたいというのが自然に出てきました」

続けて、「感情のままにいられて何も心配なく委ねることができたのは、山下さんが現場の空気を作ってくださったからだと思います」と感謝。「心の器が大きくて、何かあっても『大丈夫だよ』と言ってくれるだろうなと思えたし、実際に言ってくださる場面もあり、本当に感謝しています」と話した。

山下とは劇場版『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』以来、5年ぶりの共演。今回は相手役ということで、現場での関係性にも変化があったようだ。

「当時は役柄の中でも上下関係があり、実生活でも大先輩というイメージがあったので、近づくなんて恐れ多いという意識があったのですが、今回の役柄は山下さんもフラットでいてくださったので、いい意味で私も気を遣わずにいられた気がします」