きょう16日に放送されるフジテレビのバラエティ特番『オケカゼ~桶屋が儲かったのはその風が吹いたからだ~』(24:55~ ※関東ローカル)。「風が吹けば桶屋が儲かる」のように、「今我々の生活になくてはならないモノ・コト、そして当たり前のように行われている“アレ”は、実は意外なキッカケから始まっていた」という歴史上のストーリーを完全アニメ化で紹介する番組だ。
企画・演出を手がけるのは、『Mr.サンデー』(毎週日曜22:00~)を担当するフジテレビ入社7年目の山本将寛ディレクター。情報番組のスタッフがなぜバラエティを作るのか。そして、深夜の単発バラエティとしては異例の制作期間となった今回の番組における狙いやこだわりなどを聞いた――。
■田中邦衛さんの取材がきっかけに
「首都高ができたのは、徳川家康がビビりだったからだ」「皇居ランが生まれたのは、銀座のホステスがバチバチしていたからだ」など、一見全くつながっていなさそうなリアルな物語に迫る同番組。企画の発想のきっかけは、現在担当する『Mr.サンデー』だった。
「『Mr.サンデー』では、ニュースに限らず“映像として残っていないけれど話としては面白いもの”を再現ドラマとして演出することが多く、そういう話はとてもたくさんあるな、と日頃から思っていました。“風が吹けば桶屋が儲かる”という言葉のストーリーを紹介するのでは、さらっと流れてしまい新しくないのですが、ちょっと見方を変えて“桶屋が儲かったのは風が吹いたからだ”という風にすることで、ドラマチック感が増して“なぜそうなったのか?”という引っかかりができるなと思いました」(山本D、以下同)
『Mr.サンデー』で、亡くなった田中邦衛さんの秘話を2カ月ほど取材し、再現ドラマを制作すると、「田中さんの人生そのものがドラマだなと感じて、それが映像になったらどれだけ面白いだろう」と発見があり、そこから再現ドラマを使った番組企画を提出。『めちゃ×2イケてるッ!』『はねるのトびら』などのバラエティ番組を演出し、現在は情報制作局に所属する近藤真広氏(今回の番組では制作統括)の知恵を借り、番組化に至った。
■アニメなら“壁”を簡単に越えられる
再現ドラマをアニメにしたのは、よりドラマチックに描くため。また、「実写だと時代背景を描くためにもセットを変えたり、人を変えたり、と結構大変な作業になってしまうんです。低予算でやろうとすると安っぽく見えて違和感満載になってしまいますし。そこでアニメにすることで、今回ですと家康の時代からハリー・ポッターなどの海外ものを扱っても、違和感なく作ることができると思いました。時代や国も、本来ならば“壁”になるところをアニメなら簡単に越えられる」という考えからだった。
番組内では、宮田俊哉(Kis-My-Ft2)が「深夜のバラエティでかける予算のアニメじゃない!」と驚いているが、その通りアニメだからと言って予算がかからないわけではない。実現のために、「本当に苦労しました(笑)」と吐露する。
「人気のアニメ制作会社さんは予定が埋まっていてこのような単発番組のために稼働していただくのは難しく、門前払いもありました。しかし、YouTubeやTikTokにもハイクオリティなものがたくさんあることが分かり、過去の作品なども拝見し、今回担当してくださったアニメーターや制作会社に声をかけさせていただきました。皆さん本当に前向きにやってくださり感謝しています。見ていただくと分かるのですが、各エピソードが違うテイストになっています。本来ならば1社にお願いすると思いますが、予算のこともあり今回は全部で9つのクリエーターチームに制作していただいたんです」
一般的なアニメよりはだいぶ短尺だが、1つの作品が完成するまでには4カ月を要したそう。企画が通ってから、単発のバラエティとしては異例の約半年という期間をもらえたことで間に合ったが、それに加えて「1社にお願いしていたら間に合いませんでしたが、9つのチームがそれぞれ動いてくれたことで、なんとか完成できたと思います」と、放送にこぎつけた。