そんな苦労の甲斐もあって、TVer見逃し配信は累計2,000万再生を突破し、公式TikTokの総再生数も3,000万再生突破と、大きな反響を得ている。TikTok専門チームが手がける切り抜き動画には、数百ものコメントが付くほどだ。
離婚を相談した弁護士から「絶対に手放したくないものは何か? 家、親権、それとも財産?」と聞かれたとき、「すべて」と迷いなく答えるような陽子に、共感を覚える視聴者が多いのかもしれない。こうした視聴者の反応から、藤澤P自身も学びがあったようだ。
「陽子は夫より稼いでいる設定ですから、つまり男女逆転現象が描かれています。イギリス版が初放送された2015年当時、もしかしたら日本では、“私のほうが稼いでいるのに、家事もやってあげて、あげくの果てに裏切られる”というつらさが実感しにくかったかもしれません。それが2023年の今では日本でも“わかるー!”と思う方が増えていると、改めて感じました」
■“なぜこんなことが?”に応える心の裏側を描く作品は面白い
『夫婦が壊れるとき』は、現代日本の女性の価値観に合ったドラマだということだ。リアリティに面白さを見いだしてきた藤澤Pの個人的な思いも最後に聞けた。
「以前、『ザ!世界仰天ニュース』を担当していたとき、実際に起きた出来事を多く扱っているうちに、気づいたことがありました。全ての物事は理由があって起こり、必ずそこには気持ちの裏付けがあると、人間の心理に興味を持つようになったのです。“なぜこんなことが起きたのか?”に応える心の裏側を描く作品は面白いと思います。『夫婦が壊れるとき』は、まさにそれに当てはまるドラマです」
藤澤Pの言葉通り、終盤に入ると陽子を取り巻く登場人物一人ひとりの言動の理由が、さらに解き明かされていく。オリジナルのイギリス版のように、シーズン2まで楽しみを残してくれる結末を期待したくもなる。