計り知れない悔しさがあったに違いないが、その思いを乗り越えて新たな一歩を踏み出そうとしている川嶋。

「転換期にはなると思います。今年の8月20日を最後にして、自分の表現方法が一つ変わるかもしれません。長時間のライブはできませんが、短い小さなライブをやる可能性はありますゼロではないですし、シングルやアルバムなど作品作りに精力を注ぐのか、それは8月20日が終わってからの自分の感覚に身を任せてみようと思っています。今の時点で決まっていることはありませんが、今年は20周年の節目で、ファンの皆さんに届けられることはたくさんありのままに届けたいと思っていたので、I WiSHの新曲のリリースや、今年の後半に出したいと思っているものもあるので、8月20日の前も終わったあとも何かしらニュースは届けられると思います」

数々のアーティストに楽曲提供も行っているが、「プロデュースや楽曲提供は学びがあり、面白さも感じているので、お声がけしていただくことがあればぜひやらせていただきたいです」と話している。

そして、「こんな新たな目線でこんな楽曲を書いたんだと、過去の自分がうらやましがるような新しい発想で新しい曲を書いていてほしい」と未来の自分に期待。さらに、「支えてくれた人たちを幸せにできる人間であってほしい。これまで支えてもらった分、自分ができることをして返していき、それがその人たちにとっての喜びや幸せに変わってくれていたら、生きがいだなと思います」としみじみと語る。

川嶋にとって「喜んでもらいたい」という思いが一番の原動力だという。

「誰かが喜んでいる姿を見るのがすごく好きなんです。ちょっとハッピーになってくれたかなと思えた瞬間が生きていて一番よかったなと思える瞬間なので、そういうことができる人間になりたいです」

8月20日公演は今年で最後となり、表現方法が変わっていったとしても、これからも音楽で多くの人たちを幸せにしていくことは変わらない。

最後に、来年以降の8月20日はどう過ごす予定か尋ねると、「いつも19日に母のお墓参りに行って、『明日頑張って歌ってきます』と伝えていたのですが、来年以降は20日当日にお墓参りに行くと思います。母の実家が茨城でお墓も茨城にあり、スタッフと一緒にお墓参りに行って蕎麦屋に行くというのが19日の恒例行事なのですが、それを20日にして、母の生まれ育ったところを観光しているかもしれません」と穏やかな笑顔で話してくれた。

■川嶋あい
1986年2月21日生まれ、福岡県出身。2003年にI WiSHのaiとして『あいのり』の主題歌「明日への扉」でデビュー。2006年からは本格的にソロ活動をスタート。代表曲としては、「My Love」「compass」「大丈夫だよ」「とびら」などがある。特に「旅立ちの日に…」は卒業ソングの定番曲として人気を誇る1曲となっている。個人のライフワークとしてボランティア活動などにも積極的に参加しており、海外に学校建設を行ったり、東日本大震災の復興支援としてTattonプロジェクトにも参加している。