そんな大切な8月20日公演を今年で最後にする。声帯の不調から昨年手術するも改善されなかったため終了を決断した。
「5、6年ぐらい前から声帯の不調を感じていて、8月20日に燃え尽きたいと思っている自分がいるからこそ、ファンの皆様に生半可な歌声を届けることは、私にとって心が切り裂かれそうなほどつらいことです。なんとか光を見出そうと歌い続け、最終手段として結節を取り除く手術を昨年したのですが、感覚としては一切変わらなかったんです。手術後もレッスンを積み重ねてなんとか歌えるようになりたいと思っていましたが取り戻せず、これまで努力すればできないことはないと考えて生きてきたのですが、努力しても越えられないものがあると初めて知りました」
続けて、「8月20日はデビューしてからの人生で一番大切な日だったからこそ、乗り越えられない自分でこの8月20日を続けていくということは選択したくなかったんです」と語った川嶋。
「ファンの皆さんをものすごく悲しませてしまったり、苦しませてしまうことになるかもしれませんが、お金を払って来ていただくというファンの皆さんにとっても大切なこの空間で、乗り越えられない自分がステージを作ることが想像できなかったので、今年を最後の公演として皆さんの前に立ち、向かい合いたいという思いになりました」
そして、「学びの一つだと思ったんです。『自分はもう終わりだ』ではなく、ここからどう生きていくか、新しい人生をこれから学ぶべきなのではないかなと今思っています」と前を向き、「どう生きていくか、その答えは今から探し始めるのでまだ見つけられていませんが、見つけていけたら」と晴れやかな表情を見せる。
悩み抜いた末の決断。路上ライブ時代に出会って支え続けてくれたスタッフの言葉が背中を押した。
「今年1月頃に『次の8月20日で最後にしたいと思っている』と正直な思いを吐露したときに、『休止することになっても8月20日だけは続けようよ』という声になるのかなと思っていたのですが、『苦しんでいる姿を見るのが一番つらいから、ここで一区切りつけるのも全然ありだと思うし、応援するよ』と言ってくれたときに、本当に私のことを考えてくれたからこそ、この言葉を出してくれたんだなと感じたんです。なので『私はこういう生き方をしてみます』って勇気を出せました」
渋谷公会堂の建て替え工事などによって他会場で行われることもあったが、今年は“聖地”で開催する。昨年の8月20日公演は、声帯の手術直後のため、自身のドキュメンタリー映画『最後の言葉』のプレミアム上映として実施。ワンマンライブとしては2年ぶりの開催となる。20周年のアニバーサリーイヤーということで例年以上にファンの期待も高まっていたと思うが、今年で最後になるということでますます目に焼き付けたい公演に。
川嶋は「20年も続けられたことに、ファンの皆さんとスタッフの皆さんに本当に感謝しかないです」と思いを述べると、ラストの8月20日公演について「20年の歴史がぎゅっと詰まったライブをお届けし、応援していただいている皆様に20周年の感謝の気持ちを全力で届けられたら。立ち会っていただけたらとてもうれしいです」と語った。