この1年で、テレビ局の著名なクリエイターの退社が続いていることから、「テレビ局を辞めるのは、“テレビがオワコンになりつつあるから”っていう文脈で語られがちなんですけど、僕、テレビ大好きで全然終わったと思ってないんです。オワコンなんてことはないと思うし、そんな未来が待っているわけがない」と強調。
「テレビほどエンタテイメントを一生懸命作り続けているメディアって他にないと思うんですよ。だから、まだまだ日本においてエンタテイメントの中心であるテレビが、他のメディアとどうアライアンスを組んでいくか、プラットフォームとどうアライアンスを組んでいくか。テレビの発想をどう生かして形を変えられるかというのを考えていきたいと思ってるんです」と、テレビ局出身のクリエイターという立場を生かして新たな仕事に臨む意識だ。
その取り組みの1つとして、『名アシスト有吉』では、インフルエンサーの伊吹とよへ、ウンパルンパ、桜、水野舞菜、SHIGEが、番組内に登場する高速マシュマロキャッチ、流し酢うどん全食い(『アンミカって200色あんねん』より)、足つぼ長縄跳び(『2代目GENERATIONS オーディション』より)、DOKI DOKIクッキング(『IKKOのDOKIDOKIクッキング』より)、1文字ろうそく消し(『東京さまぁ~ずゲーム』より)といったゲームに挑戦する「名アシスト超え選手権」を、21日21時からTikTokLIVEで実施する。
実際に撮影して、「『若い世代は芸人さんと違ってこういうふうにリアクションするんだ』とか、『彼らにとって“面白い”とはこういうことなんだ』とか、編集の仕方1つとっても『こっから見せるんだ』とか、すごく新鮮ですね」と発見があったそう。
また、「新しいSNSへのアプローチというのを一緒に考えて作っていったんですけど、そもそもバラエティのPR方法って、あまり確立されていないと思うんです。映画やドラマだったら、出演者の顔ぶれや演技、ストーリーラインを見せて、“見たい”という気持ちに訴えかける手法だと思うんですけど、バラエティの場合、どうやったら“面白そう”と伝えられるのかが結構難しくて。今、特に若い子は、TikTokなどで好きなものを選んで見るという感覚があるから、“PR”と分かると途端に避ける人が多くて届きづらい。そこで、若いクリエイターと組んでTikTokというプラットフォームでメインにやることで、『こんな番組あるんだ』と気づいてもらえる施策にしたいと考えています」と期待を込める。
さらに、公式のハイライト映像を、インフルエンサーたちがTikTokに投稿するという試みも展開。「TikTokを見てたら、『名アシスト有吉』の映像がすごい流れてくるみたいなことを起こそうというものです。画が強くて短い尺で伝わる映像が多いから、ここからちょっとNetflixを見てみようという新しい流れができれば」と狙いを明かした。
■次世代クリエイターがマスで力を発揮するには
「急速にエンタテイメントの享受の仕方が変わってきて、時間の感覚も使うメディアもどんどん変わっている中で、どうやったらコンテンツを届け続けられるのかというのは、急いで解かなきゃいけない問いだと思うんです。これからもっとコンテンツの量が増えていく中で、SNSといかに“共犯関係”を作っていけるかというのが、今後プラットフォームに問われることになると思うので、どうやってリーチして気づいてもらえるかというのを一緒に考えています」と、新たな試みに取り組んでいる橋本氏。
日テレ在籍時に『ひまつぶ荘』を立ち上げたときから、「次世代のクリエイターと、テレビのようなマスメディア、Netflixのような大きなプラットフォームをつなぐものは何だろう、彼らのクリエイティブがフルパワーで発揮できるコンテンツはどうやったら作れるんだろうというのが、ずっと考えている課題なんです」と認識を持っていた。
その上で、「SNSで自分の好きなものを作って公開して称賛や注目を浴びるのと、マスのエンタテイメントの二極化になって良いのかと。そこをつなぐ間に何かできることがあるのではないかと考えていたので、今回の試みはそのチャレンジでもあるんです」と力説。「他にも、いろいろ準備をしているので、今後形になったものがいっぱい出てくると思います」と予告している。