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ディープフェイクの加工は外部の技術者に依頼しているが、一度発注してから上がってくるまで1週間程度かかるのだそう。番組予算としても大きな割合を占めており、「それでスタジオにセットが組めなくなるくらいかかりました」と明かす。

また、「ディープフェイクはまだ発展途上の技術なので、今がちょうど笑えるクオリティだと思うんです。リアルになりすぎても、雑すぎてもちゃんとエンタメにならないので、わりといい時期にこの番組ができて良かったなと思います」と、タイミングがうまく合致。編集作業で何十回も見ている画だが、「何度見ても面白いんです。いろいろストーリーも考えましたが、この番組はやはり画が強いということに尽きると思います」と実感したそうだ。

ディープフェイクを使ったバラエティの企画と言えば、『クイズ!THE違和感』(TBS)で、千鳥・ノブの顔をした人物が本当は誰なのかを当てる「ノブ違和感」があったが、『カワシマの穴』では、「“ウソ密着”というところをどんどん立てて、制作側からも『ディープフェイク』という言葉は絶対言わず、“技術スゴイ番組”にはならないように、かなり気をつけました」と強く意識。

過去の川島の同じVTRや、当時1回しか放送していなかったMC特番『新装回転!ハナシ寿司』の映像を何度も使いまわして尺を埋めようとするなど、「“ダメな制作陣”を演出として打ち出していきました」と狙いを話した。

  • 南斉岬ディレクター

■特徴的なSNS拡散のされ方、他局の制作者から反響も

深夜の放送にもかかわらず、視聴率は個人2.0%、世帯3.6%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)と堅調。「ディープフェイクというものがずっと画として面白くて、その中でさらに些細な面白いことが展開されていくという形でも、テレビ番組としてありなんだなと発見がありました。クイズやトーク番組のようにはっきりジャンル分けできない番組でも、目に留まれば多くの人に見てもらえるということも分かったのは大きいです」と収穫があった。

また、バラエティの場合は、テロップの入ったインパクトある場面のキャプチャ画像がSNSで拡散される傾向にあるが、この番組に関してはディープフェイクが外れそうになった瞬間など、特徴的な切り取られ方が目立った。

放送後には、『Raiken Nippon Hair』『Aマッソのがんばれ奥様ッソ!』『テレビ放送開始69年 このテープもってないですか?』などフェイクな番組で話題を集めるテレビ東京の大森時生氏や、『勇者ああああ』などで知られる同局の板川侑右氏からDMで感想が届いたり、日テレの先輩でもあまり接点のなかった橋本和明氏(『有吉の壁』など ※昨年末で同局退社)から連絡をもらうなど、業界内での反響も大きかった。

「ディープフェイクを使ったウソ密着ドキュメント」というフォーマットは、他のタレントにも適用できるが、「やっぱり川島さんのツッコミや目線というところはこの番組に不可欠なので、今後もご出演いただきたいと思います」と強く信頼し、第2弾にも引き続き出演する。“経験者”の立場からどんなコメントが飛び出すのか、注目だ。