『スタンドUPスタート』や『世にも奇妙な物語』といったドラマに加え、『全力!脱力タイムズ』も手がける狩野氏。この番組は、とあるドラマを手がけたことがきっかけで企画を考案した。
「『全力!脱力タイムズ』は以前に僕が関わったあるドラマでの番宣がきっかけでした。バラエティ番組などに出る際、俳優さんの中にはプライベートが見えるようなことは避けたい方がいらっしゃったり、素の姿をさらけ出すのに抵抗がある方もいたのですが、だったら逆にセリフを覚えて演じるのは大丈夫なのでは? ある意味演じていただく形ならば可能性はあるのでは? という理屈で最初に考えました。シットコムなので起承転結もあってドラマに似た構成があったりもします。ドラマもバラエティも両方携われることができたから、たまたまこの番組ができたのかなって思います」
最後に、昨今のテレビ業界事情についても聞いた。
「今はいろいろなメディアが変遷する過渡期。様々な批評があり、メディアがあり、誰も正解が見えない。例えば、配信を回すためにファンが多い人をキャスティングしたとしても、『全力!脱力タイムズ』は解説員が皆高齢者でも見てもらえてますし、結局面白ければ見てもらえるというところに着地する気がします。あとは視聴者の皆さんが人に勧めたくなる作り。『silent』も最初からファンは多かったのですが、勧めたさがあったのかなって思います。その要因は何か。それはきっと、作り手がとにかく泣かせたいか、とにかく笑わせたいか、視聴者の感情をどう動かしたいのかをハッキリすることだと思うんです」
一方で、「おそらく、昔も視聴率20%をとるドラマの作り方の正解なんてみんな分からなかったですからね。いつの時代も難しいものは難しい」と頭をかく狩野氏。それでも、「『見て良かった』と思ってもらうために頑張るしかないと思う。そういう作品が、勧められていくのだろう、広まっていくのだろうと信じてこれからも制作していきます」と前を見据えた。