山崎と土屋との共演の感想を尋ねると、「素晴らしかったです」と絶賛。「これがスターだなって思いました。本当にいい子で、クリーンで、こんなにいい子に育って……というような親心でした(笑)。お二人と共演し、透明パワーをもらって心が浄化されました」と振り返る。

“好き”に忠実に生きている仲もとてもクリーンに感じるが、「私はいろんなものを吸収しているので。色って混ぜたらドブ色みたいになるじゃないですか(笑)。私は手あたり次第、好き好きって全部やってしまうので、休みの日もバタバタしていて。賢人くんと太鳳ちゃんは丁寧にじっくりと一つのことを頑張っていらっしゃるので」と述べる。

浄化されたというのは、“好き”を追い求めることを弱めたわけではなく、目の前のことに丁寧に向き合う姿勢を学んだということのようだ。

「お二人はお芝居に関して自分の思っていることをはっきりおっしゃっていて、お若いのに素晴らしいなと思いました。私は芝居に関してはイエスマンで、何も言わないんです。私よりプロフェッショナルな方たちに言われたら『ですよね』って。これからも芝居に関してはイエスマンだと思いますが、お二人の姿勢はとても学ぶべきものがありました」

2004年にデビューしてから18年経ち、33歳になってますますパワフルさが増しているように感じる仲。「仕事に関しては、年々自分がやりたいものや、楽しそうだなと思うものに手を出す率が高くなりました」と語る。

11月に憧れの賞だったという「ベストジーニスト」を受賞した際には、ド派手なドレッドヘアで登場し、会場からどよめきが起こった。女優業において自分ではない誰かになりきるため、それ以外の時間はありのままの自分でいたいという思いが年々強まっているという。

「普段は“自分でいたい”という欲がどんどん強くなっています。役者は作品が続くと自分でいられる時間が限られる。作品によって髪やメイク、全部変えないといけないので、自分を見失いそうになるんです。自分をちゃんと見つめ直す時間が大事だなと思い、今こうなっているのだと思います。見つめ直しすぎて(笑)。役者としていろんな人生を歩みますが、それだけではなく、仲里依紗というものを知ってほしいという思いが強くなりました」

そう思うようになった転機を尋ねると、「結婚が大きかったかもしれません」と答えた。仲は2013年に結婚し、同年、第1子となる男児を出産。SNSで家族ショットとともに微笑ましいエピソードもたびたびつづっている。

「コンビニ前に集合しちゃうくらい本当に普通の近所のお兄ちゃんという感じの主人と一緒になって、それまではずっと仕事のことばかり考えがちでしたが、芸能人・芸能界というものがふと外れて、プライベートの時間をちゃんと持てるようになると、自分でいられる時間がすごく大事だなと思ったんです。だからオンオフを切り替えて、自分でいることを大切にするようになりました」

そして、ありのままの自分を発信することは、役者の仕事にとってもプラスになっているという。

「暗い役を演じたり明るい役を演じたり、その差が激しいですし、精神的に大変な役もある。ちゃんと自分を表現する時間を持つことで、メリハリがつくというか、役ともちゃんと向き合って演じることができるのだと思います」