昨年は画像生成AIが話題になった1年でしたが、OpenAIの「ChatGPT」の進化によって英語圏では「ちょっと待て」な状態になっています。

12月上旬、The Atlanticの編集者が選出するその週のおすすめ記事に高校で英語を12年間教えてきたダニエル・ハーマンさんが書いた「高校英語の終わり」が選ばれました。ChatGPTは高校レベルならエッセイの課題の代筆をこなせる能力を備えています。どんなに検索が便利になっても、教育において「書くこと」だけは盗作をしない限り、自分で考え、構成して表現するしかありませんでした。それが電卓を叩いて計算問題の答えを出すように、オリジナルエッセイの課題を作れてしまう。イラスト生成やコード生成が話題になった時は、それらに関わっている人達を除くと一般的には「そんなにできるんだ」という驚きにとどまっていました。しかし、誰もが学生時代に苦労し、米国では教育で非常に重視されるライティングのAI生成によって多くが危機感を抱き始めています。

  • 「2015年にクリストファー・コロンブスが米国に来た時のことを教えて」という問いに対し、ChatGPTは「(コロンブスは1506年に亡くなっているから)トリッキーな質問ですね」とした上で、「もしコロンブスが2015年に生きていて米国に来たら」という創造的なエッセイを作成してくれます

AIの創造性に関して2023年には人々の警戒心が膨らみ、例えばAI生成のコンテンツにブロックチェーンの透かしを義務付ける仕組みの提案など、推進派は破壊と構築の観点からアプローチを見直す必要に迫られそうです。ChatGPTと教育の議論では、すでに存在しているのだから正しく受け入れることを考えるべきという声があります。インターネット上の人間によるコンテンツは全てが正しいわけではなく、生成AIが必ずしも正しい情報で文章を書き、適切な表現をするとは限りません。AIの書くことを鵜呑みにしていたら、今日のフェイク情報のような問題が形を変えて起こり得ます。生成AIはしばしば間違った答えを書いてくることを前提に、リサーチやエッセイの課題に生成AIの使用を認め、指定した生成AIが作った文章を検証させる。言い直しではなく、学生に検証者と編集者になる方法を学ばせる……生成AIが私達の暮らしに浸透していく将来に向けて、そうしたスキルを身に付けることが重要になるというわけです。