家康に大きな影響を与えるのが、野村萬斎演じる今川義元と、岡田准一演じる織田信長。義元は、人質として預かった聡明な家康に目をかけて幅広い教養を身につけさせ、家康が父のように心から尊敬する人物だ。

松本は「義元公にはすごくかわいがられたと思っています。氏真(義元の嫡男)が当主になったときに支える人物の一人として、人質の身ながら家臣になるべくしっかりと教育をしてくださった方」と述べ、「『桶狭間の戦い』以降も、義元公の教えは自分の中で大切になっていくと同時に、若い頃に教育されたことが人物形成に関わっていると思います」と語る。

信長については「家康にとって、こういう人が強くなるんだろうなと恐怖や憧れを抱いているのが織田信長。小さい頃に会った記憶が残っていて、再会してからは恐怖と尊敬と、自分は信長のようにはなれないとだろうなという引け目も含めて彼を見続けていくことになる」と解釈。さらに、信長を「目の上のたんこぶというか、頭が上がらない人」とも表現し、信長の言動が家康に大きな影響を与えるが「少しずつ家臣や周りの人の影響を受けて、僕はこう思うという風に変わっていく」と説明した。

そして、岡田が演じる信長について「怖いですよ!」と笑い、台本に書かれている「獣のような狂気を抱えた目」という言葉が「ぴったり」だと称賛。頭が上がらない存在であるというのは、自身と岡田の関係性と重なるようだ。

「V6の時代にジャニーズJr.としてバックで踊らせていただいていた直属の後輩なので、尊敬する先輩であると同時に、ある意味、家康の信長の関係性のように、一生頭が上がらない存在。そんな先輩に信長役をやってもらえることはすごく光栄なことです。『軍師官兵衛』で大河ドラマの主演も経験されているので、現場をどう動かすと面白くなるのかすごく考えて動いてくださり、まさに役柄同様、僕が翻弄されているような関係性でやらせてもらっています」

家臣団も豪華な顔ぶれで、リーダー・酒井忠次役の大森南朋、忠次と同じく古参の家臣・石川数正役の松重豊、戦国最強武将の一人・本多忠勝役の山田裕貴らが名を連ねる。

松本は「家臣団のみんなに会うのが楽しみ。今日はみんなそろうというだけでワクワクしますね」とうれしそうに話し、「クランクインが愛知県だったので、泊まりで少し時間があるときには、一緒にご飯に行ったり、身動きがとれない甲冑姿のまま前室にいてみんなで苦労を共有できたので、あっという間に家臣団の関係性が作れたのではないかなと思います」と絆を感じさせた。

家臣団の一番の年長者はイッセー尾形演じる鳥居忠吉。キャストの年齢の幅は広いが、「お芝居に関してお互いに言いたいことが言える環境」だと言い、「それは先輩たちが支えてくださっているからだと思います」と先輩俳優たちに感謝した。

新しい解釈で描く家康の物語。松本は古沢氏の脚本の面白さを演じながら実感しているようで、「読んでいるときももちろんですが、実際に演じてみるとより面白い。読んでいるときはうまくいくかなと思うところも、本番で演じてみるとその言い回しが言いやすいし、言葉のチョイスが素晴らしい。驚くような展開、思わず感動してしまう局面など、人の心が動く仕掛けを作るのがとても上手な方なので、そういった部分もドラマの随所に出てくると思います」と力強く魅力をアピールした。

■松本潤
1983年8月30日生まれ、東京都出身。嵐のメンバーとして1999年「A・RA・SHI」でCDデビュー。俳優としては1997年に『保険調査員しがらみ太郎の事件簿・讃岐殺人事件』でデビューし、ドラマ『金田一少年の事件簿』(01)、『ごくせん』(02)、『花より男子』シリーズ、『99.9-刑事専門弁護士-』シリーズ、映画『僕は妹に恋をする』(07)、『ナラタージュ』(17)などに出演。2023年放送の大河ドラマ『どうする家康』で、大河ドラマ初出演にして初主演を務める。

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