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松本は10代前半から家康を演じ、第1回では瀬名と人形遊びやかくれんぼを楽しむキュートなシーンも描かれる。SNSを大いに沸かせた『鎌倉殿の13人』最終回でのサプライズ出演でも、チャーミングな家康が垣間見えた。

本作で古沢氏が描く家康像は、江戸幕府を開いた人物という一般的なイメージとはかけ離れているように感じるが、松本も抱いていたイメージとは違ったという。

「演じる前は“たぬきおやじ”と形容されるような恰幅のいいおじさん、江戸幕府を開く頃の年を重ねた徳川家康のイメージで、津川雅彦さんや西田敏行さんといった年配の俳優さんが演じられていた印象でした。ですが、今回は竹千代の時代も、元康、そして家康と名前を変えて若かりし頃からずっと描いているので、印象は明らかに違います」

また、自身が演じることになって家康を掘り下げていったときに、生命力も家康の大事なポイントだと実感したという。

「毎日生きるか死ぬかの選択をしなければいけないという選択の連続。古沢さんが描く家康像は、か弱きプリンスとして描かれている部分がありますが、選択肢がいろいろある中で、運も含めて生き延びるほうを選んでこられた人、そして、長生きしたからこそ最終的に戦国時代を終わらせて江戸時代を切り開けた人なのかなと感じました」

また、「素直さ」も家康の魅力として挙げる。「感情が豊かだから、自分のやってしまったことをすぐに後悔できる。そして、その後悔を人前で素直に言えてしまうところが、チャーミングでもありダメなところなのかなと思うし、そのダメなところを古沢さんがうまく切り取って書いて下さっている。それが人間らしさや、生きるか死ぬかの厳しい戦国時代を生きている中でも、笑えるシーンにつながっているのかなと思います」

続けて、「本人はいたく真面目で僕も真面目にやっていると、周りの人々のリアクションによって面白いシーンになる。笑いの部分は家臣団の方たちや周りの人たちに預けています」と述べた。

家康の才能で欲しいものは? という問いには、「長生きしたことはすごいところの一つ」と答え、「ほかの人が亡くなっていく中で、それだけ長く生きられたのは将軍になれた一つの理由だと思います」と話した。

また、「自分の力でやらないこと」も才能だと言い、「周りの人たちが優秀だったという見方もありますが、1人でやらずに周りの人たちに託すというのも一つの力。僕の中の家康像は、誰がやるのかは重要ではなく、成功するためにどういう道筋を選ぶべきか考えている人。適材適所に人材を置けるというのが彼の才能だと思います」と語った。