お笑いコンビ・ウッチャンナンチャンの内村光良が、フジテレビの若手ディレクター3人とタッグを組んで新企画に挑むバラエティ特番『内村と相棒』が、きょう20日(16:00~ ※関東ローカル)に放送される。多くの芸人たちに慕われ、ハマった若手が次々にブレイクしていく内村だが、番組制作者においてもその定説は当てはまるのか。
内村の“相棒”になった3人のディレクターに話を聞くと、テレビを通して伝わってくる「優しさ」に加え、「受け入れ力」「安心感」「ストイックさ」というキーワードが浮上。「理想の上司ランキング」6連覇を裏付ける、若手育成術の一端が見えてきた――。
■“ミュージアム”切り口に既存番組と差別化
まず3人がそれぞれ、どんな企画を内村にぶつけたのか。ゲストのミュージアムを作り、1日限定のツアーを開催する『内村芸能人ミュージアム』を企画したのは、『ネプリーグ』の演出を務める入社8年目の大村昂平ディレクターだ。
ゲストの人生を振り返るトーク番組という定番のジャンルにあって、“ミュージアム”という側(ガワ)を作ることで、オリジナリティを生み出した。
「ミュージアムにはいろんな部屋があって、体験できるブースもあるので、“何でもできる箱”だなと考えたんです。また、話題が変わるたびにパネルが運ばれてくるのではなく、出演者のみなさんが移動していくことで、よくあるテレビバラエティーショーにならない形にしました」(大村D、以下同)
また、企画において意識したのは、“内村の見たことのない顔を出す”ということ。「内村さんって視聴者の方の象徴のような存在で、内村さんが笑ってると楽しい気持ちになると思うんです。それにプラスして、ゲストの人生の中に入ることで『なるほど』と感じてもらい、“どの番組よりも楽しむ内村さん”というのを目指しました」と狙いを明かす。
■「夢芝居」で締めるこだわり…意識した『スマスマ』
今回、ミュージアムが作られたゲストは、“300年に1人の役者”梅沢富美男。「過去を振り返るのは嫌だ」という本人のほか、マネージャーへの取材をみっちり行い、梅沢の著書からも情報収集。そして、公演で使用する化粧道具や1000万円以上する着物など実物資料も豊富に取りそろえ、実際に「梅沢富美男ミュージアム」として入場料が取れるレベルの展示量になった。
ミュージアムらしく、ボタンを押すと解説音声が流れるという仕組みも導入。淡々とした語り口で、梅沢の弱みをイジり倒していくが、「怒った反応しながらも受け入れてくれる梅沢さんは、本当に懐が深いと思いました」と感謝する。
ラストには、代名詞でもあるヒット曲「夢芝居」を歌うが、最初は難色を示していたという梅沢。それでも、梅沢と交流のある北口富紀子氏(バラエティ制作センター企画担当)の力も借りて、大村Dの熱意で口説き落とした。
そこまで「夢芝居」の歌唱にこだわったのは、「戸渡(和孝バラエティ制作センター室長)さんに『スマスマではいろんなSMAPが見られるけど、最後にアイドルのSMAPを見せるから歌で締めていた』という話を聞いたことがあったんです。僕もSnow Manの番組(『7G~SEVENTH GENERATION~』)をやっていて、歌わせる歌わせない論争があったんですけど、今回はラストにガッチリ“梅沢富美男”で締めよう」という思いから。しかし、どうしても笑いで終わらせたいという気持ちが強く、最後の最後にもうひとくだり用意している。
「ミュージアム」というパッケージは、梅沢のようなベテランに限らず、より若いタレントでも適用できるシステムであるため、「新しいトーク番組のスタイルになれば」と、今後の展開にも意欲を示した。