DLSS 3によるフレームレートの伸びは強烈

次は、レイトレーシングとDLSS 3の性能を含めたテストをしてみたい。DLSS 3は従来のアップスケーラーにフレーム生成を追加してフレームレートをより向上させるというものだ。。TensorコアよるAI処理でフレームを作るため、CPU負荷の高い状況でもフレームレートを伸ばせるのが特徴と言える。原稿執筆の2022年11月15日時点では

  • A Plague Tale: Requiem
  • Bright Memory: Infinite
  • Destroy All Humans! 2 - Reprobed
  • フィスト 紅蓮城の闇
  • F1 22
  • Justice
  • Loopmancer
  • Marvel's Spider-Man Remastered
  • Microsoft Flight Simulator
  • SUPER PEOPLE

の10タイトルがすでにDLSS 3に対応。

  • WRC Generations - FIA WRC Official Game(11月16日発売予定)
  • Marvel's Spider-Man: Miles Morales(11月19日発売予定)
  • Need for Speed Unbound(11月29日発売予定)
  • Warhammer 40,000: Darktide(11月30日発売予定)

も最初からDLSS 3に対応して発売されるという。GeForce RTX 40シリーズが、まだRTX 4090とRTX 4080しか登場していない状況で、DLSS 3対応タイトルがこれだけ増えているのはNVIDIAが普及に対して本気度がいかに高いか分かるというものだ。

まずは、DLSS 3に対応するベータ版のサイバーパンク2077から試していこう。テストは最高画質設定の「レイトレーシング:ウルトラ」をベースに、レイトレーシングライティング設定をもっとも高い「サイコ」にし、ゲーム内のベンチマーク機能を実行した際のフレームレートを「FrameView」で測定している。

  • ベータ版サイバーパンク2077には、DLSS 3の特徴であるフレーム生成を有効にする「DLSS Flame Generation」という項目が追加される

  • サイバーパンク2077

DLSS 3の威力がよく分かる結果だ。RTX 4080はフレーム生成を有効にしてDLSSをパフォーマンス設定することで、フルHDで約2.9倍、WQHDで約3.5倍、4Kで約4.2倍もフレームレートが向上している。RTX 4090ほどではないが、4Kでレイトレーシングを最大限効かせても滑らかな描画が楽しめるのは素晴らしい。RTX 3080と比較するとDLSS有効時の4Kで約2.4倍もフレームレートが上回っている。

次はアップデートにてDLSS 3に正式対応となったF1 22だ。画質、レイトレーシングとも最高の「超高」に設定、ゲーム内のベンチマーク機能(バーレーン&晴天に設定)を実行した際のフレームレートを「FrameView」で測定している。

  • DLSS 3対応によってビデオモードの設定に「DLSS Flame Generation」が加わった

  • F1 22

サイバーパンク2077ほとではないが、フルHD、WQHDで約2.1倍、4Kで約2.6倍のフレームレート向上を確認。4Kでは平均182fpsと、4K/144Hzのゲーミング液晶を活かし切れるフレームレートが出ている点に注目したい。ただ、フレーム生成のないRTX 3080でもDLSSを有効にするとフレームレートはかなり伸びている。DLSSが非常に効くタイトルと言ってよいだろう。

もう一つ、11月12日の大型アップデートでDLSS 3に正式対応した「Microsoft Flight Simulator」を実行しよう。アクティビティの着陸チャレンジから「シドニー」を選び、60秒フライトしたときのフレームレートを「FrameView」で測定している。

  • DLSS 3に対応したことでフレーム生成の「NVIDIA DLSS フレーム生成」が追加された

  • Microsoft Flight Simulator

Microsoft Flight SimulatorはCPU負荷の非常に大きいタイトルだ。そのため、GPU性能が十分な状況ではCore i9-12900Kを持ってしてもCPUがボトルネックになってどの解像度でもフレームレートが変わらない。RTX 3080 TiやRTX 3080のフルHDとWQHDがDLSSを有効にしてもフレームレートが伸びないのは、まさにCPUがボトルネックになっているためだ。その点、DLSS 3はGPU側でフレームを生成するので、RTX 4090やRTX 4080ではフレームレートが約2倍ほど向上できている。CPU負荷が高いほどDLSS 3のフレーム生成が活きるというのが、よく分かる結果だ。

RTX 4080でもデュアルエンコードの威力を味わえる

ここからはクリエイティブ系の処理をテストしていこう。まずは、3DCGアプリの「Blender」を使ってGPUによるレンダリング性能を測定する「Blender Open Data Benchmark」を試す。

  • Blender Open Data Benchmark

一定時間内にどれほどレンダリングできるのかをスコアとして出すベンチマークだ。RTX 3080に対して、1.5倍から1.9倍ほどスコアを伸ばしており、GPUによるレンダリング性能も大きくアップしているのが分かる。RTX 4090に対しては2.5割減と、さすがに差は出た。

続いて、デュアルエンコードに対応する動画編集アプリの「DaVinci Resolve 18」(テスト版)を使って、Apple ProResの4Kと8K素材を使ったプロジェクト(約2分)をそれぞれH.265とAV1に変換する速度を測定してみた。品質:80Mbps/Rate Control:固定ビットレート/Preset:速度優先の設定でエンコードを実行している。

  • DaVinci Resolve 18 (4K)

  • DaVinci Resolve 18 (8K)

RTX 4090と同じく、2基備えたハードウェアエンコーダーのNVENCを同時に使えるのは大きな強み。RTX 3080 TiとRTX 3080よりも高速にエンコードを完了できる。高圧縮&高画質のコーデックであるAV1のハードウェアエンコードにも対応し、同じ高速エンコードを使えるのも魅力的。RTX 3080 TiとRTX 3080はAV1のハードウェアエンコードに対応していないためだ。