NVIDIAの最新GPU「GeForce RTX 40」シリーズ。最上位のRTX 4090に続き、2022年11月16日の23時から「GeForce RTX 4080」の発売が開始される。それに先だって「GeForce RTX 4080 Founders Edition」を試用する機会を得たので、さっそくその性能を試していこう。RTX 4090や前世代のRTX 3080 Ti/3080と比べてパフォーマンスはどうなのか注目してほしい。
GeForce RTX 4080は、エンスージアスト向けのRTX 4090に続くハイエンドクラスのGPUだ。価格の目安は21万9,800円からと、29万8,000円からとなっているRTX 4090よりは下がったがそれでも非常に高価なGPUであることは変わりない。まずは、スペックを紹介しておこう。
GeForce RTX 4000シリーズのスペック | ||||
GPU名 | RTX 4090 | RTX 4080 | RTX 3080 Ti | RTX 3080 |
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CUDAコア数 | 16,384 | 9,728 | 10,240 | 8,704 |
ベースクロック | 2230MHz | 2210MHz | 1365MHz | 1440MHz |
ブーストクロック | 2520MHz | 2510MHz | 1665MHz | 1710MHz |
メモリサイズ | GDDR6X 24GB | GDDR6X 16GB | GDDR6X 12GB | GDDR6X 10GB |
メモリバス幅 | 384bit | 256bit | 384bit | 320bit |
RTコア | 第3世代 | 第3世代 | 第2世代 | 第2世代 |
Tensorコア | 第4世代 | 第4世代 | 第3世代 | 第3世代 |
アーキテクチャ | Ada Lovelace | Ada Lovelace | Ampere | Ampere |
DLSS | 3 | 3 | 2 | 2 |
NVENC | 第8世代×2 | 第8世代×2 | 第7世代 | 第7世代 |
カード電力 (W) | 450 | 320 | 350 | 320 |
システム電力要件 (W) | 850 | 750 | 750 | 750 |
電源コネクタ | 8ピン×3または450W以上の12VHPWR×1 | 8ピン×3または450W以上の12VHPWR×1 | 8ピン×2 | 8ピン×2 |
RTX 4080は16GB版と12GB版が発表されていたが、12GB版はキャンセルとなったのでここではRTX 4080と表記している。RTX 4090に比べるとスペックダウンしているとは言え、1万近いCUDAコア、16GBの大容量メモリ、高いブーストクロックなどハイエンドらしい強烈なスペックだ。そして注目したいのが、カード電力が320Wと激減していること。これはRTX 3080 Tiよりも低く、RTX 3080と同等。そのため、電源の要件は750Wとなり、導入のしやすさはグッとアップしている。
そのほか、Ada Lovelaceアーキテクチャの採用など基本的な特徴はRTX 4090と同じだ。詳しく知りたい方はRTX 4090のレビュー記事「「GeForce RTX 4090」の恐るべき性能をテストする - 4K+レイトレで高fpsも余裕のモンスターGPU」で確認してほしい。
性能テスト前にGeForce RTX 4080 Founders Editionを紹介しておこう。NVIDIAの純正カードと呼べるもので、RTX 4080の基本仕様通りの作り。ブーストクロックは2510MHz、カード電力は320Wに設定されている。
4K&高画質でゲームを楽しめる性能
さて、性能チェックに移ろう。テスト環境は以下の通りだ。Resizable BARは有効にした状態でテストしている。比較対象としてGeForce RTX 4090 Founders EditionとGeForce RTX 3080 Ti、GeForce RTX 3080を用意した。CPUのパワーリミットは無制限に設定。ドライバに関しては、RTX 4080についてはレビュワー向けに配布された「Game Ready 526.72」、そのほかは「Game Ready 526.86」を使用している。
【検証環境】 | |
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CPU | Intel Core i9-12900K(16コア24スレッド) |
マザーボード | MSI MPG Z690 CARBON WIFI(Intel Z690) |
メモリ | Corsair DOMINATOR PLATINUM RGB DDR5 CMT32GX5M2B5200C38(PC5-41600 DDR5 SDRAM 16GB×2)※DDR5-4800で動作 |
システムSSD | Samsung 980 PRO MZ-V8P1T0B/IT(PCI Express 4.0 x4、1TB) |
データSSD | Kioxia EXCERIA PRO SSD-CK1.0N4P/N(PCI Express 4.0 x4、1TB) |
CPUクーラー | Corsair iCUE H150i RGB PRO XT(簡易水冷、36cmクラス) |
電源 | Super Flower LEADEX V G130X 1000W(1,000W、80PLUS Gold) |
OS | Windows 11 Pro(21H2) |
まずは、3D性能を測定する定番ベンチマークの「3DMark」から見ていこう。
まず、前世代の同一グレードという点でRTX 3080と比べるとDirectX 11ベースのFire Strikeで約1.3倍、DirectX 12ベースのTime Spyで約1.5倍、レイトレーシングのPort Royalで約1.6倍のスコアだ。RTX 40シリーズはレイトレーシング向けのRTコアが刷新されているだけに、その効果が出ている。RTX 4090に対しては、Port Royalでもっとも差が開き、約3割減となった。
次は、実際のゲームを試そう。まずは、レイトレーシングやDLSSに対応しないゲームとして「レインボーシックス シージ」と「Apex Legends」、「オーバーウォッチ 2」を試す。レインボーシックス シージはゲーム内のベンチマーク機能を実行、Apex Legendsはトレーニングモードの一定コースを移動した際のフレームレート、オーバーウォッチ 2はBotマッチを実行した際のフレームレートをそれぞれ「FrameView」で測定している。
レインボーシックス シージは今回APIにDirectX 11を設定している。ゲーム側かドライバ側の問題かは判別できないがVulkanだと挙動とフレームレートが安定しなかったためだ。そのため、RTX 4090レビューの記事とフレームレートの出方が異なっているので注意してほしい。RTX 3080と比較するとWQHDと4Kは約1.4倍ほどフレームレートが高いと、3DMarkのFire Strikeと同じ傾向だ。フルHDに関してはRTX 4080とRTX 4090がほとんど変わらないとフレームレートの上限に達していると考えられる。CPUが変われば、もう少し伸びる可能性もあるが。
Apex Legendsはフレームレート上限を解除するコマンドを使っても最大300fpsまでしか出ないゲームだ。フルHDは上限に到達、WQHDもほぼ上限近くのフレームレートが出た。4Kでも平均209fpsと4K/144Hzのゲーミング液晶と組み合わせても、その性能を活かし切れるフレームレートが出ているのは素晴らしいところ。
オーバーウォッチ 2は、RTX 3080に対して約1.45倍から約1.6倍のフレームレート向上と順当な性能アップが見て取れる。RTX 4090に対してはWQHDと4Kで約3割減と高負荷な状況だと性能差が開きやすい。