――仮面ライダーのファンの方たちがCSMに求めていることについて、フナセンさんはどのように分析されているでしょうか。
おもちゃというのはなんでも機能を詰め込むのではなく、何が一番のポイントなのかをわかりやすく打ち出すべき、という考え方があります。うちの会社の格言で「何でもできる、は何にもできない。」というのがあります。あれもできます、これもできますだと、この商品の何が一番面白いポイントなのかがぼやけて、結果中途半端な商品が出来上がるという意味です。
ただ、CSMはその考えを覆すように「外観のクオリティ、音声・BGMの充実、キャストボイス収録、劇中のあらゆるシーンを再現するプログラム……と、多彩な要素を限界まで取り込んでいます。もちろんメインの「変身遊び」の再現度が最も大切なことなのですが、それ以外に遊びたいこと、あってほしいことはお客様ひとりひとり異なると思います。あらゆる要素をまんべんなく、最大公約数的に入れるというのは、自分の中で大事なことだと思っています。誰かにとっては不必要な機能でも、誰かにとっては必要な機能だったりする。高価ですし、何度も出し直せる商品ではないので、1回の商品化でより多くの方にリーチできる内容にしたいと思っています。
CSMでは、ひとつのベルトの中に「作品の面白い要素が全部詰まっている」というのを理想に掲げており、お客様のライダーの思い出を甦らせる「身近な装置」としても機能してくだされば幸いです。
――第1弾「CSMダブルドライバー」が2019年に「CSMダブルドライバー ver.1.5」として発売されたように、既発売のCSM商品をリニューアル、グレードアップする構想はありますか?
初期のCSMは、どこかの機会でバージョンアップしたものを作り直したいと思っています。昨年は「ディケイドライバー」を「ver.2」として発売し、今年は「オーズドライバー」もリメイクしました。商品企画はいつも一回一回が勝負なのですが、作り終わって、エンドマークを打ってからようやく初めて見えてくるものがあります。これはあらゆる創作物でも同じだと思いますが、じゃあそうそう作り直しできるかというとそんなことはありません。そんな思いに極力ならないように、毎回真剣に開発していますが、後に出せば出すほどクオリティは間違いなく上がりますので、同じ作品の商品でも、2号ライダーのベルトの方がスペックが高いなんて事例もあります。
本当は全部作り直したいと言うと怒られそうですが、常に進化し続ける先に、過去の商品も再び新たなスペックで世に送り出せる機会があればと思っています。適切なタイミングで、今後取り組んでいきたいです。
――平成仮面ライダーシリーズの変身ベルトが中心となっているCSMですが、ベルト以外の「大人向け」なりきりアイテムや、あるいは仮面ライダー1号の変身ベルト「CSM変身ベルト・タイフーン」に続く「昭和」ライダーのベルトなどの商品化についてはいかがでしょう。
現状ではまだ明確にお答えすることはできませんが、機会があれば昭和ライダーのベルトや、平成でもマイナーとされる仮面ライダーのベルトなども商品化していきたいという思いがあります。新シリーズ「CSG(COMPLETE STYLE GIGANTIC)タイタンソード」が12月に皆様の手元にお届けされますが、今後こういった「武器」の大型商品も続けていきたいです。一生追いつけないとは思いますが、すべてのベルトをCSMで出したいという野望はあります。