画質は従来通り、2倍ズームが使いやすく
メインカメラのスペックは変わらないように見えますが、カメラの使い方が変わりました。これまで、デジタルズームをする場合にはそのままデジタル処理で拡大していたのですが、デジタルズーム時にピクセルビニングを解除して50メガピクセルの中央を切り出す方式になりました。
中央切り出し方式は珍しい使い方ではないですが、高画素を生かしたピクセルビニングを解除するというのがポイント。スマートフォンだとシャープの「AQUOS R7」や「iPhone 14 Pro Max」の例があります。
「Pixel 6 Pro」では、デジタルズームは中央切り出しからデジタル処理で1,250万画素まで拡大していましたが、ピクセルビニングの解除はしていませんでした。ピクセルビニングを解除した場合、5,000万画素から中央を切り出すため、デジタル処理での拡大が最小限で済みます。
撮影したRAW画像を確認してみると、「Pixel 6 Pro」の場合、2倍ズームにすると画像は中央2,024×1,520ピクセル(約308万画素)の部分が切り取られ、1,250万画素に拡大されています。画質を見てみると、2倍ぐらいだとピクセルビニングでデジタルズームでもいいような気もします。デジタルズーム4倍からピクセルビニングを解除する「AQUOS R7」のアプローチは、正しいように感じます。
「Pixel 7 Pro」だと2倍時4,064×3,056ピクセル(約1,242万画素)で、これを4,080×3,072(約1,253万画素)にデジタルでの拡大処理が行われていています。
正確には、「Pixel 7」では1倍でも常に4,064×3,056ピクセルから4,080×3,072ピクセルへと拡大していますので、2倍ズーム時も同様の処理をしていることになります。中央切り出しで拡大しないのはこの2倍までのようで、それ以降は拡大処理をしています。
デジタル処理は4.9倍まで継続して、5倍になると望遠カメラに切り替わります。4.9倍の時点では1,684×1,266ピクセル(約213万画素)だったので、拡大するとそれなりに画質は劣化しています。下手に4.9倍で撮るよりは、1~2歩下がって5倍の望遠カメラに切り替えるか、2~3歩進んで2倍ズームで撮影した方が良さそうです。
望遠カメラも同様で、5倍時点でJPEG画像は4,080×3,072ピクセル(約1,253万画素)ですが、RAW画像からわずかに拡大処理しています。10倍時点では、3,794×2,854ピクセル(約1,082万画素)なので、拡大は最小限で済んでいます。20倍では1,966×1,478ピクセル(約290万画素)、30倍では1,270×952ピクセル(約120万画素)。「Pixel 6 Pro」だと最大倍率の20倍で832×624ピクセル(約52万画素)でした。
仕組みはだいぶ複雑ですが、撮影する分には特に気にする必要はありません。AFは速く手ブレも強力。気兼ねなく撮影できるようになっています。ただ、シャッター音は相変わらず強め。AppleやSamsung、そしてGoogleという主要メーカーのシャッター音は、ちょっと大きすぎのように思います。最近ではソニーがオープンマーケット版のXperiaでシャッター音を消す設定を追加しているので、追従してほしいものです。
カメラのテストではほぼ「Pixel 7 Pro」を使っていますが、比較してみても、「Pixel 7」との画質の差は特になさそうです。違いは主に望遠カメラの有無で、AIを活かした撮影機能には特に違いはありません。
画質は「Pixel 6 Pro」と「Pixel 7 Pro」で比較しても大きな差はなく、同様にレベルの高い描写をします。色味は派手でもなく、シャープネスも自然。HDRは自動で掛かりますが、不自然な様子はあまりありません。シーンによって多少の違いがあるようにも思えますが、メインカメラは「Pixel 6 Pro」と同等と言えるでしょう。
画角が広くなった超広角カメラも、画質という面では大きな差は感じられません。描写できる範囲が広くなったので、余計なものが入り込む構図の難しさは増しましたが、同時に利便性も高まっています。
望遠カメラも、特別な差を感じません。画角以外は、あまり差を気にする必要はなさそうで、「Pixel 6」と「Pixel 7」のカメラの違いは使い勝手の違いでしょう。特にデジタルズームの30倍は強力なので、シーンを選べば十分に活用できそうです。