蒔田は7歳で子役としてデビュー。兄が先に子役として活動していて、「私もやってみたい」とこの世界に飛び込んだ。
最初の頃は仕事という意識ではなく「楽しいというだけだった」という。そこから、仕事としてずっとやっていきたいと思う転機となったのが、小学4年生のときに出演した是枝裕和監督演出のカンテレ・フジテレビ系ドラマ『ゴーイング マイ ホーム』(2012)だった。
「初めての連ドラだったのですが、『これがお芝居か!』って初めて思ったんです。撮影していた6カ月間ずっと自分の役と向き合っている大人の俳優さんたちを見てカッコいいな、私もこんな大人になりたいと。これからもやっていきたいと思ったのはそのタイミングです」
その後、映画初主演作『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(2018)で報知映画賞新人賞などを受賞。そして、『朝が来る』(2020)での演技が高く評価され、数々の映画賞で助演女優賞を総なめにした。
『朝が来る』も蒔田にとって転機に。家族役キャストと実際に約3週間一緒に住み役を作っていったというこの作品について、「周りからも役名で呼ばれて、ずっと役と向き合っていたというか、役として生きていたので、すごく貴重な体験だったなと思います」と語る。
演じる楽しさは経験を重ねてどんどん増しているという。「いろんな方と共演することでいろんな刺激や吸収があるので、やればやるだけ面白くなっていきます」。ちなみに、蒔田が女優の仕事が楽しいと感じる瞬間は「自分の意思ではない感情が出てきたとき」だそうだ。
「こういうお芝居をしようとしたものではなく、自然と出てきた何かを感じたときが一番楽しいです。最近の作品だと『妻、小学生になる』の最終話でお母さんとお別れするときは、私ではなく私の中の麻衣の感情が出てきました」
経験を重ねてその瞬間に出会えることは増えているそうで、「役とちゃんと向き合えるようになってきたのかなと思います」と成長を実感。この点でも、『朝が来る』の経験が大きいようで、「より役に入り込むことができるようになった気がします」と振り返る。