フジテレビの深夜番組と言えば、80年代後半から「JOCX-TV2」などと銘打ち、『やっぱり猫が好き』『夢で逢えたら』『カノッサの屈辱』『カルトQ』など、バラエティに富んだラインナップで深夜黄金時代を迎えた。この再興という意識について聞くと、竹内氏は「個人的には、昔を目指してもダメだと思います。これだけ深夜に枠ができたので、今の時代に合ったものが生まれないと」との考えを披露。

春名氏も同調した上で、「話題になる番組がいっぱい出るという意味では目指すところだと思いますが、時代があまりにも違うと思うんです。当時視聴者だった自分は、夜中にこっそり物音を立てずにリビングにたどり着いて、いかに小さな音で楽しめるかみたいなことをやってましたが、僕の高校生の息子はスマホというものがある以上、わざわざリビングまで忍び込むのは対価に見合わないわけです。その中で何をやったら面白がってもらえるかを考えていかなければ」と語る。

一方で当時は、三谷幸喜、小山薫堂、飯田譲治など、クリエイターの発掘という点でも大きな役割を果たしたが、その部分は今回も強く意識。

「この業界は同じ人間で回っていきがちなので、外のクリエイターの方にフジテレビでヒットを当ててもらいたいという思いは、すごくあります。脚本家もそうですし、ディレクターもそうですし、僕ら自身、外の方に学ぶことが非常に多いですから。ずっとパソコンでコソコソ調べているよりも、人にいっぱい会って、面白い人と『一緒に番組をやりませんか?』となっていくことが、次のヒット番組が生まれるポイントじゃないかなと思います」(竹内氏)

■企画を出すということにおいて、ルールはない

10月改編でトライアル枠増強を発信したことで、竹内氏は「僕の古巣のバラエティ制作センターの人たちからは、みんなどんどん企画を出すぞ! というモードになっていると聞きますし、社内だけじゃなく外の方からも、『ちょっとフジテレビに企画出したいな』となってもらえたらいいなと思います」と期待。

春名氏は「企画を出すということにおいては、ルールはないと思いますので、どこからどんな形でご提案頂いてもいいんです。ぜひ、竹内と春名までお願いします!」と、広く募集をアピールしている。

●竹内誠
1971年生まれ、兵庫県出身。神戸大学法学部卒業後、96年に毎日放送入社。05年にフジテレビジョンに入社し、『IPPONグランプリ』『ワイドナショー』『FNS27時間テレビ』『バカリズムのそこスルーする?』『嵐ツボ』『お笑い脱出ゲーム』などで演出を担当し、21年に編成部に異動して企画担当を務める。

●春名剛生
1976年生まれ、東京都出身。上智大学文学部卒業後、99年にフジテレビジョン入社。『SMAP×SMAP』『笑っていいとも!』『おじゃMAP!』『痛快TV スカッとジャパン』『さんタク』などを担当し、17年に編成部に異動。『突然ですが占ってもいいですか?』の企画を担当し、深夜担当のチーフを務める。