テスト環境その2(Integrated Graphics)

続いては統合グラフィック環境での比較である。Ryzen 7000シリーズはIODの方にNAVI 2ベース(というかRDNA2ベース)のGPUを統合するが

  • 2CU、すなわち1 WGP構成。
  • Infinity Cacheは無し。
  • Ray Tracing Unitも無し。

という事で、性能の方はかなり低いと考えられる。今回は時間の関係で表3に示すように、Core i9-12900K vs Ryzen 7 7700Xという環境で、どちらも統合GPUを利用しての比較を行った。

■表3
CPU Ryzen 7 7700X Core i9-12900K
M/B ASUS ROG CROSSHAIR X670E HERO ASUS ROG MAXIMUS Z690 HERO
BIOS Version 0604 Version 0237
Memory G.Skill Trident Z5 Neo DDR5-6000 16GB×2
DDR5-5200 CL44
T-Force Delta RGB DDR5 16GB×2
DDR5-4800 CL40
Video 内蔵GPU
AMD Adrenalin 22.20.29.01 RC6 Sep16 Intel Graphics Driver 101.3413_101.2111
Storage Seagate FireCuda 520 512GB(M.2/PCIe 4.0 x4) (Boot)
WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data)
OS Windows 11 Pro 日本語版 21H2 Build 22000.978

◆テスト2: PCMark 10 v2.1.2563(グラフ77~82)

PCMark 10 v2.1.2563
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/pcmark10

  • グラフ77

  • グラフ78

  • グラフ79

  • グラフ80

  • グラフ81

  • グラフ82

まずは通常のアプリケーションがちゃんと動くのか? ということでPCMark 10を実施してみたが、結果から言えばRyzen 7 7700XはNGだった。具体的に言えば、Digital Contents CreationとGamingが現状のドライバではなぜか動作しない。まだRC6というバージョンだから動作しない事そのものはあり得る話だが、Digital Contents Creationが動かないのはちょっと不可解だし、Gamingに至っては3DMark単体ではちゃんと動作する事を考えると、まだ品質が低いと言わざるを得ないのがちょっと残念だ。そんな訳でスコアが出るのはPCMark 10 EssentialsとPCMark 10 Applicationsのみである(グラフ77)。

Test Group(グラフ78)を見ると、EssentialsとProductivityは悪くない。Essentials(グラフ79)ではなぜかApp StartupのみRyzen 7 7700Xが異様に高く、他はやや低めという妙なバラつきを見せるが、トータルすると大体同等。一方Productivityでは、特にOpenCL周りが驚異的に高速な関係で、性能が大きく異なる。ちなみに具体的に数字で示すと

テスト項目 Core i9-12900K Ryzen 7 7700X SpreadsheetMonteCarloOcl 77.41 2.18 SpreadsheetEnergyMarketOcl 16.92 0.8 (数字は経過時間(秒))

で、もうCore i9-12900KではCPUで処理を行っているOpenCL周りを、Ryzen 7 7700XではうまくGPUでオフロードできているのがこの差の要因と思われる。ただその一方で、Digital Contents Creation(グラフ81)を見ると、何でかRendering & VisualizationとVideo Editingの両方が動作せず、なのでそもそも比較が出来ない。Gamingも同様である。

Applicationに関しては大きな差では無いが、全般的にCore i9-12900Kの方がやや優勢といった感じである。先のグラフ7ではCore i9-12900KとRyzen 7 7700Xの性能差がそこまで無かった事を考えると、これは統合GPU側の問題と考えて良いかと思う。

◆テスト2: 3DMark v2.22.7359(グラフ83~86)

3DMark v2.22.7359
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/3dmark

  • グラフ83

  • グラフ84

  • グラフ85

  • グラフ86

流石に統合GPUでFireStrike UltraとかTimeSpy Extreme、更にはPort Royalとかを実施するのは無謀なので見送り、若干減らしたテストを実施してみた。さてまずはOverall(グラフ83)だが、全般的にRyzen 7 7700Xの方が低めである。純粋にスコアで言えば、15~30%程度、Ryzen 7 7700Xのスコアが低い。ただいくつかのテストはCPU性能も加味されているので、では純粋にGraphics Testの結果は? というのがグラフ84で、こちらもやはり15~30%ほどRyzen 7 7700Xの方が低めである。要するにIntelのUHD Graphics 770より2~3割低い、というのが実力に見える。

Physics/CPU Test(グラフ85)はそもそもコア数も異なるからRyzen 7 7700Xのスコアが低めなのは当然だし、Combined Test(グラフ86)も当然これを反映したものとなる。

◆テスト2: FF XIV 暁月のフィナーレベンチマーク(グラフ87)

FF XIV 暁月のフィナーレベンチマーク
SQUARE ENIX
https://jp.finalfantasyxiv.com/benchmark/

  • グラフ87

何もゲーム系を試さないのもどうかと思い、簡単なものを一つ。ということでFF XIV 暁月のフィナーレベンチマークを。測定方法などはこちらで示す通りだが、今回は

解像度:1.5K(1600×900)/2K/2.5K
プリセット:標準品質(デスクトップPC)

とした。またOCATは使わず、スコアだけを取得している。という事で結果はグラフ87の通り。こちらもRyzen 7 7700Xのスコアは、Core i9-12900K比で16~18%ダウンとなっている。一応ベンチマークの目安で言えば、スコアが4000~5999の範囲は「普通」で、標準的な動作が見込めるとしているので、建前上は2K解像度でのプレイは可能だが、まぁ快適か? と言われればちょっと厳しいというあたりだろうか。

そもそもIntel UHD Graphics 770そのものが、単体でゲームをやるのは厳しいという評価の性能でしかないから、ここから2割近く性能が落ちたらさらに厳しいのは明白である。もっともRyzen 7000シリーズの統合GPUはそうした目的のためのものではないから、まぁ最低限のレベルはクリアしているというあたりか。

◆テスト2: 消費電力(グラフ88~89)

  • グラフ88

  • グラフ89

CPU単体での消費電力は先ほどグラフ70~76で示した通りなので、統合GPUの消費電力を確認してみた。ということで、グラフ88が3DMark FireStrike Demo実施中の消費電力変動である。グラフ89は稼働中の平均値をとったもので、御覧の通り僅かながらRyzen 7 7700Xの方が低めである。もっともFireStrikeのスコアを考えると、性能/消費電力比の観点ではCore i9-12900Kの方に軍配があがりそうではあるが。