対決や大喜利のお題は、池田Pを含め、ディレクター、AD、放送作家らスタッフで毎収録1,000以上の案を出し合い、それを直しながら200個程度に絞ってジュニアと打ち合わせ。一覧にした表からジュニアが「◯」をつけたものが収録で採用されるため、その結果を待っていたスタッフは、「みんな自分の考えたお題に何個◯がついたのかを楽しみに数えています。若いスタッフも含めて、みんなが『どうやったら芸人さんたちが面白くやってくれるんだろう』と一生懸命考えているので、すごく健全な現場だと感じますね」という。

放送開始当初は、「5個しか◯がつかないときもあって、作家さんとそのまま喫茶店に行って『どうします!? これじゃ収録に足りないですよ』と困ったこともありました(笑)」というが、最近では20個から多くて30個の「◯」をもらえるように。「この打ち合わせはいまだに一番緊張するんですが、こうして笑いにストイックなジュニアさんに育てていただいて、スタッフもレベルアップしているのかなと思います」と、成長を実感しているそうだ。

お題には、考えた人の“ニン”(人間性)が出るのだそう。「ポンポン思いつくときもあるんですけど、日常生活の出来事を落とし込んだものがけっこうあって、『今、この子こういう感じなんだ、こんなこと考えているんだ』というのが分かるのも面白いですね。例えば、失恋した子は“恋”をテーマにしたお題が入っていたり(笑)」といい、毎週の案出しに苦労はありながらも、「大変以上に、楽しいという感じですね」と充実の表情を見せた。

  • 『千原ジュニアの座王』演出・プロデューサーの池田和彦氏

■強く意識する「主役は芸人」

テレビマンのキャリアで最初に携わった番組『たかじん胸いっぱい』で、ネットが現在ほど普及してない時期に“1,000人アンケート”を文字通り足で稼いで調査したり、全録のハードディスクがない時代に、地上波の全局全番組を対象に“年末年始に誰が一番長くテレビに映ったか”をストップウォッチ片手に1人で集計したりするなど、汗をかいて用意した企画が結果につながる経験をしているだけに、準備を尽くすことの大切さを知る池田P。『座王』で強く意識するのは、“主役は芸人”であるということだ。

「本当に筋書きがない番組なので、誰が座れないか分からないし、誰が指名されるかも分かりません。そこに、先輩後輩対決や、コンビ対決でタイマン勝負を挑むというのは大変な度胸もいると思うので、戦ってくれる皆さんは本当にすごいです。だから、僕らの仕事は、お題を用意して、プレイヤーの方に集まっていただき、皆さんがどれだけ輝けるかという環境づくりが一番大切だと思っています。何が起こるか分からないという『座王』の魅力は、芸人の皆さんの奮闘があってこそなので」