伊藤といえばハスキーボイスも魅力で、クレア役の吹き替えを務めた木村佳乃も「カッコよくてすごく素敵」と絶賛していた。

自身はハスキーボイスにコンプレックスを感じていた時期もあったというが、「最近この声に興味が湧いてきました」とにっこり。「いきなり『キャー!』が言えるようになったんです。今まで『キャー!』が出なくて、台本に書いてあるとドキドキしていたんですけど、舞台で喉を痛めてしまったときに、何か変わったのか突然言えるようになって、面白いなと。だから、自分の声に興味を持ち始めています。声変わりしているみたいです(笑)」

また、本作に参加したことで「自分の声ってまだ幼いな」と感じたことも告白。「おばちゃん声とかガラガラ声とか言われてきましたが、自分としてはまだ若いなと思ったんです。本国のケイラと比べているからだと思いますが」と言い、「なので、いずれは本当にカッコいい渋い声になったらいいなと。そして、頼れるおばちゃんとか、カッコいい役をやりたいです」と願望を口にした。

理想の女性像を尋ねると「笑顔が似合う、そういう印象を持たれる人になりたい」と回答。「母から『常に笑っていなさい、楽しみなさい』と言われて育っていて、母もすごく笑う人なんです。なんか楽しそうだなって人はすごく魅力的だなって。なんでも笑い飛ばせる人ってカッコいいし、かわいいし、素敵だなと思います」と語った。

数々の話題作に出演し、昨年エランドール賞新人賞やブルーリボン賞助演女優賞を受賞するなど実力も評価されている伊藤だが、自身の女優人生において今はどんな状況だと思うか尋ねると、「一番不安な時期かもしれません。ここでどっしり構えていられるか、瀬戸際な気がします」と意外な答えが返ってきた。

「今はありがたいことにお仕事をいただけていますが、だからこそ緊張や不安は常に伴う状態に。これを伊藤沙莉にやってほしいと思っていただけるのは、うれしい半面、裏切っちゃいけないし、その期待を超えないといけない。ここを踏ん張ればもう少し安定する時期が来るような感じがしていて、今は踏ん張り時です」

さらに、今後の活動について「まだ幅が広いとは言えないと思っていて、挑戦していない人格や職業などいっぱい役としてあるので、もっと隅から隅までやりたい。お芝居をもっともっと飽きるほどやりたいです!」と力強く語った。

■伊藤沙莉
1994年5月4日生まれ。千葉県出身。2003年にドラマでデビューし、数々のドラマや映画、舞台などで活躍。ギャラクシー賞テレビ部門個人賞、ブルーリボン助演女優賞、エランドール賞新人賞など多数受賞。近年の出演作にNHK連続テレビ小説『ひよっこ』(17)、Netflix『全裸監督』(19、21)、アニメ『映像研には手を出すな!』(20)、ドラマ『いいね!光源氏くん』(20、21)、『ミステリと言う勿れ』(22)、『拾われた男 Lost man Found』(Disney+・NHK BSプレミアムで配信&放送中)、映画『タイトル、拒絶』(20)、『ボクたちはみんな大人になれなかった』(21)、『ちょっと思い出しただけ』(22) 、『映画ざんねんないきもの事典』(声の出演/22)、『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』(日本語吹替版/7月29日公開)、『女優iの憂鬱/COMPLY+-ANCE』(9月2日公開)など。8月7日より舞台『世界は笑う』に出演。主演ドラマ『ももさんと7人のパパゲーノ』(NHK)が8月20日放送。