ワークアウトは多機能だが、中級者以上向け

ワークアウトを実施するには、2時位置のボタンを押し、ワークアウトの種類を選択すれば良い。デフォルトでは、屋外を走る「ラン」が選びやすく表示されていた。もちろん、メニューは50以上あり、必要に応じてそれ以外の種目も選べる。

例えば、「トレッドミル」や「バイク」などが用意されているし、さらに「追加」からは「ゴルフ」や「ヨガ」「筋トレ」などのメニューも選べる。なお、今回の検証では、主にランとウォークを使用した。

  • カスタマイズしたワークアウト計測中の画面例。ワークアウト開始から23分49秒経過しており、計算上は残り88%のスタミナで15.5km走れるということがわかる。一部「%表示」が重複してしまっているが、筆者が撮影用にあえて並べたものなので悪しからず

文字盤は大きく、ワークアウト中に表示される距離やタイムなどの数値も、とても見やすく表示された。晴れの日に直射日光が指す場所でも、視認性は良い。

詳しくは後述するが、ワークアウト中に表示される画面のレイアウトや構成要素はカスタマイズ可能なので、利用法に合わせて調整できた。特に、あと何キロ、あるいは何分走れる体力が残っているのかを、バーや%で表示できるのは、同機ならではの特徴だ。

ワークアウトについては、その日のおすすめのメニューが表示されることもポイントだ。例えば、ランを実行しようとすると、「今日のおすすめ」という画面に、1キロ6分30秒のペースを目標に30分走るメニューがレコメンドされた。

後日には、1キロ6分15秒ペースで1時間走ろうというメニューが表示された。おそらく、ワークアウトの履歴や、その日の回復度合いに応じて、提案されているのだろう。

  • おすすめのワークアウトが表示された画面。モチベーション維持にはとても便利だが、炎天下でも容赦なくメニューが組まれるので無理は禁物

走者のペース配分をウォッチが監督

実際にワークアウトを始めると、リアルタイムのペースを計算して、遅すぎる/ちょうど良い/速すぎる、などを教えてくれる。走者自身の感覚では定量的に掴みづらいペース配分を指摘してくれるので、まるでトレーナーが伴走してくれているかのような感覚でよかった。

市民マラソンの完走などを目標にトレーニングしたいものの、ついついペースが落ちてしまったり、歩いてしまったりすることが多いような人ならば、尻を叩いてもらうのにちょうどいい。

  • 6:15ペースが目標のワークアウト中に、疲れて歩いているときに走行ペースを指摘された例。手首でブルブル震えて音が鳴って、何かなと見ると「遅すぎます」とのこと。「最適」や「速すぎます」なども教えてくれる

ただし、ランナー向けをうたう本格派の製品だけあって、久しぶりに運動する人にとっては、おすすめされるメニューの強度は割と高いかもしれない。1キロ6分台のペースとは言え、30分や1時間も走り続けるのは、中級者以上向けのメニューだと言える。

もし初心者や運動不足気味の人が同機を利用する場合には、怪我やトラブルを防ぐ意味でも、キツイと感じたら無理におすすめメニューを選択せず、無理なくできる負荷の運動をした方が良いだろう。おすすめメニューに挑戦するのは、ある程度体力がついてからの方がいいと思う。

朝に調子を教えてくれる

Forerunner 955 Dual Powerを使っていて、特に気に入ったのは、「モーニングレポート」という機能だ。朝起床して、画面を下から上にスワイプすることで、その日のコンディションが表示される。

  • 毎朝表示できる「モーニングレポート」画面は、日々のルーティンに馴染んで欠かせないものになった。ついでに、指紋がつくとこのくらい目立つ

  • ただし、モーニングレポートの最後に表示される一言アドバイスは、たまにポジティブをゴリ押しされて、ちょっと狂気を感じる(笑)。何が大丈夫なのかはわからない

指標のなかで、特に参考になるのは「トレーニングレディネス」だろう。この項目では、睡眠の質や、ストレスの度合いなどがスコアとして加味され、前回のトレーニングからどの程度回復が進んでいるのかを数値で表してくれる。

数値やグラフとともに、「十分回復しました」のようなテキストでも表示されるので、直感的にもわかりやすい。もし睡眠時間が浅かったり、ストレスが高かったりした日には、回復が遅れているとも指摘してくれた。

  • トレーニングレディネスの画面。回復度合いが数値化されるので、その日のトレーニング強度を決める参考になる

筆者の体感的には、概ねトレーニングレディネスに表示される数値と、実際に感じる疲労度は一致していた。そのため、次のトレーニングをいつ頃に行おうか、と予定を立てるときに便利だった。

また、「今日はまだ走れるかもしれない」と無茶をすることも避けられるし、もし無茶をしてしまった場合にも、次のトレーニングをするまでに必要な回復時間が伸びることが可視化されるのがよかった。

なお、トレーニングレディネスの値などは、通常メニューからいつでも確認できる。うっかり朝にしか開かないモーニングレポートの画面を閉じてしまったというときでも、一切心配いらない。モーニングレポートはあくまでもルーティンを作るうえで役立つ機能だ。

  • ログやトレーニングレディネスは、スマートフォンのアプリからも確認できる。睡眠のログも詳細に残るので、健康管理という視点でも活躍するだろう