メタバースへの取り組み
日本マイクロソフトの取り組みのひとつとして注目を集めているのが、メタバースである。
メタバースは、目的に応じて、「コンシューマ」、「オフィス空間」、「産業特化型」の3つに分類。なかでも、オフィス空間や産業特化型の用途では、DXを実現するアプローチのひとつに位置づけている。
たとえば、オフィス空間ではインフォメーションワーカーが仮想空間でコミュニケーションを行えるサービスとして「Microsoft Mesh for Teams」を発表しており、今後の新たなコミュニケーション手段として注目が集まっている。
その一方で、日本マイクロソフトが、最も注目しているのが、産業特化型のメタバースだ。
その先進事例のひとつが、川崎重工業によるメタバースへの取り組みとなる。2022年5月に開催されたMicrosoft Build 2022の基調講演でも、米マイクロソフトのサティア・ナデラCEOが時間を割いて説明した事例である。
川崎重工業では、Azure IoTやAzure Perceptを活用した産業用ロボットの予兆保全や、Azure Digital TwinとHoloLens 2を利用したデジタルツインによって産業用ロボットの危険状態を確認。さらに、Dynamics 365とMicrosoft Meshを活用することで、遠隔地からも産業用ロボットの稼働状態を確認するといった仕組みを実現しようとしている。
日本は製造業が多い一方で、世界に比べてDXへの取り組みが遅れていることが指摘されるが、むしろ、産業特化型メタバースは、日本が先行することができる領域ともいえる。 日本マイクロソフトでは、2023年度を、産業特化型メタバースの元年に捉えるとともに、産業ごとの課題解決に向けたソリューシュンを提案していくなかで、メタバースを、ひとつの切り口として提案していく姿勢をみせる。
また、2022年秋には、ニコンが、Microsoft Mixed Reality Capture Studiosを国内に設置する計画を発表している。同施設は、被写体の周りに多数のカメラを設置し、様々な角度から撮影した3Dデータ映像を制作するボリュメトリック映像制作スタジオであり、海外ではすでにパートナー企業と連携しながら展開している。日本では初めての施設となり、今後、オフィス空間やコンシューマなどでのメタバースの実現において活用されることになる。