――改めて脚本家を目指したきっかけも教えてください。
もともと小説家になりたくて小説を書いていたのですが、学生時代に『とと姉ちゃん』など書かれている西田(征史)さんがアシスタントを探されていると聞いて、手伝い始めたのがきっかけです。
――アシスタントを始めてから脚本の面白さを感じていったのでしょうか。
そうですね。小説は、地の文章や描写の美しさですが、脚本は台詞の面白さで見せてく。台詞回しに特化するって、人間をとても表していて、面白いなと思いました。
――脚本と小説、どちらのほうがペンが進みますか?
両方進まないです(笑)。物語を書くのは大好きですが、両方とも苦しみながら悩みながら書いています。
――今後も脚本と小説、どちらも書かれていくのでしょうか。
そうですね。『恋せぬふたり』で5年ぶりくらいに小説を書きましたが、やっぱり楽しいなと思ったので、感覚を忘れないうちに小説もまた書きたいです。
――執筆において一貫して心がけていることは?
人は多面性があるものだと思っているので、一面だけを描きたくないなといつも思っています。いい人も悪いところがあるし、悪い人もいいところがあるので、完全な善人や完全な悪人は出さないようにしたいと心がけています。
――目標として掲げていることなどありましたら教えてください。
言霊を信じているので、次は小説で何か賞をとれる作品が書けるように頑張りたいですし、ドラマでもまた、世の中をちょっと変えられるものが作れるように頑張りたいです。
――特に目標にしている賞はありますか?
本屋大賞、芥川賞、直木賞……いただけるものは何でもいただきたいです(笑)。向田邦子賞をいただけたことは本当にびっくりで、今ちょっと欲が出ているのかもしれません(笑)。欲だけではダメなので頑張ります(笑)
――次の作品としては、10月スタートの本田翼さん主演のTBS系火曜ドラマ『君の花になる』の脚本を手がけられます。劇中のボーイズグループが実際にデビューすることも発表され、すでに話題ですね。
今まさに執筆中ですが、『恋せぬふたり』を楽しんでいただいた方にも、いわゆるラブコメが好きな方にも楽しんでもらえる作品にしたいなと。いろんな人がハッピーになる作品にしたいと思って書いています。
――最後に、今後の吉田さんの作品を楽しみにしている方たちにメッセージをお願いします。
『恋せぬふたり』をきっかけに知ってくださった方も多いと思うので、過去の作品にも触れてもらえたらうれしいですし、今後発表する作品も、「試行錯誤してるな」「ここはまだ勉強が足りてないな」とか思いながら見てもらえたらうれしいなと。間違っていると思う部分は教えてほしいといつも思っているので、いろんな意見をもらいながら頑張りたいですし、つらい思いをしている人や生きづらいと思っている人に少しでも寄り添い続けられる作品を作っていきたいです。
1987年11月21日生まれ、神奈川県出身。脚本家としての代表作はドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』『花のち晴れ~花男 Next Season~』、映画『ヒロイン失格』『センセイ君主』、『ホリック xxxHOLiC』など。小説『脳漿炸裂ガール』シリーズは累計発行部数60万部を突破するなど、映画、ドラマ、アニメ、舞台、小説等、ジャンルを問わず多岐にわたる執筆活動を展開している。ドラマ『恋せぬふたり』で「第40回向田邦子賞」を受賞。小説『恋せぬふたり』も執筆した。