パフォーマンスは? 体感は? ゲームもタイトル次第では遊べるレベルに

ベンチマークは以下の表の通りだ。CINEBENCH R23、PCMark 10、3DMark Time Spy、ファイナルファンタジー XIV:漆黒のヴィランズを使用して測定した。結果は下の表のとおりだ。

■Inspiron 14/16のベンチマーク
テスト項目 Inspiron 14(5425)-Ryzen 5 5625U Inspiron 16(5625)-Ryzen 7 5825U
CHINEBENCH R23 Multi 7484 7655
PCMark10 Overall 5084 5738
PCMark10 Essentials 8994 9435
PCMark10 Productivity 8792 9403
PCMark10 Digital Content Creation 4511 5781
3DMark TimeSpy 756 1270
3DMark Graphics 662 1116
3DMark CPU 3945 5860
FF XIV デスクトップ高画質 2103 4059
FF XIV ノートパソコン高画質 2667 4874
FF XIV ノートパソコン標準 3245 6012

CHINEBENCHとPCMark10の数値は悪くはないと思うが3DMarkとファイナルファンタジー XIV:漆黒のヴィランズの数値はあまりよくない。特に5425は描画レベルを最低に落としてもあまりよろしくない(6525はノートパソコン標準画質まで設定を下げて「やや快適」)。

これはCPUが下位だからというだけではなく、グラフィック描画のメモリ帯域が半分のシングルチャネル構成なのが影響しているのだろう。

重い3D描画は厳しいということで、もう少しライトなゲームはどうだろうと引っ張り出してきたのが、(筆者がたまにやっている)「League of Legends」だ。e-sportsタイトルにもなっており、日本ではLJL(League of Legends Japan League)というプロチームによるトーナメント戦が開催されている。2018年からは「全試合オフラインで観戦可能」となった(ので、オッサンなのに2018年はほぼ全試合を会場で観戦した。ただし、コロナ禍で現在オンライン対戦に戻っている)。2009年に登場したタイトルゆえに比較的低スペックなゲーミングパソコンでも遊べるのが魅力だ(参考記事)。

タッチパッドでこのゲームは無理(細かな右クリック操作が不可欠)なので、手持ちのゲーミングマウス(Logicool G502 HERO)を使って試してみたところ、筆者程度の力量ならばほぼトラブルなく遊ぶことができた。16インチと画面も広めでそれなりに快適。また、Wi-Fi6接続という事もあり、ゲーム中のディレイも16ms程度で安定していて、仕事環境の有線LAN接続と比較しても2-3ms程度の違いしかない。

今どきのゲーミングパソコンと比較するとディスプレイのリフレッシュレートが低く見えるものの、(リフレッシュレートと応答性が生死に直結する)FPSではないのでこれならば問題ないだろう。5425はメモリバンドが半分の構成ゆえにダメかと思ったが、意外と健闘していた(ほぼ60FPS以上ををキープしていた)。ゲームはタイトル次第と言ったところだろう。

  • ヨワヨワの筆者がLoLの対AI戦で遊んでいる勝利目前画面。右上にpingとFPSが表示されているが、5425で遊んだ限りでは最後のこの画面で59FPS。60FPSを超えても液晶パネルの表示には影響ないので、ライトに遊ぶ分には問題なさそうだ
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  • チェック用の画面でNPCをドサっと出して負荷をガツンと上げてみた(現実的にはこのような状況にはならない)。5625でもこの局面で40FPS出ているのでまあ問題ないだろう

電源はφ4.5コネクタのACアダプタが付属するが、PD入力にも対応しているため専用のACアダプタを持ち歩かなければいけないというわけではない。ただし、今回添付されているACアダプタは65Wであり、筆者が使っている4世代前の製品は45Wと電源もパワーアップしている。接続しているアダプタが65W未満の場合(起動時とWindows利用中に)警告が出る点に注意したい。電源のパワーアップはアダプタの大きさと重さにも反映しているので出張等で持ち出す場合に気になる。

今回チェックした限りでは45Wアダプタ使用時は警告が出る以外の明瞭なトラブルに遭遇しなかったが、本製品は1時間で80%までの急速充電するExpressChargeに対応しているので、ここで問題が出る可能性がある。

  • 左が私物の3世代前のInspiron 14に付属してた45Wアダプタ。右が今回のInspiron 14/16に付属する65Wアダプタ。大きさもそうだが、重量も重い(実測156g対241g:電源ケーブルを除く)

  • 製品添付が65Wアダプタなので当然と言えば当然だが、今回検証した両製品とも45Wアダプタを入れて起動すると起動時にBIOSチェック画面が表示される

  • Windows 11実行中もMy DELLツールが定期的に警告ポップアップを表示する(次回から表示しないのボタンを押せば表示されない)

電源に関して補足しておくと、My DELLのツールから電源利用を「適用/ExpressCharge/常時AC接続/標準/カスタム」の5つから選択できるようになっている。急速充電に目が行きがちだが、ノートパソコンで使われているリチウムイオン電池は80%を超える充電状態かつ高温環境では電池の劣化が早まる。

常時AC接続の設定は事務所などほぼ常時AC運用の環境に向いており、電池を劣化させずに永く利用したいユーザーに向いている。また、性能と騒音に関してファンの制御を「最適化/静音/最高パフォーマンス/低温」の4つから選択できる。ヘッドフォンをしてゲームなら最高パフォーマンス、図書館で使うなら静音、ひざに載せて使うなら低温とシチュエーションによって選択できるのはうれしい。

  • 3世代前の製品とは異なり電源や騒音設定がMy DELLから一元管理できるようになった。0%から80%まで一時間で充電されるExpressChargeが大きくアピールされているが、ACアダプタを接続したままでもバッテリを劣化させにくい常時AC接続の設定がうれしい

I/Oは電源、ヘッドセット、HDMI 1.4、SDカードリーダーはあるもののUSB 3.2 Gen.1 Type-A x2とUSB 3.2 Gen 2 Type C(PD/DisplayPort対応)が一つなのは微妙だ。ノートパソコンを使う多くのユーザーがマウスを使う事を考えるとUSB 2でいいのでもう一つ欲しい。

2020年当時Webカメラが品不足になるなどの問題を起こしたが、当然ながらInsripon 14/16共にHDのWebカメラが本体上部についている。画質はそれなりだが、カメラにシャッターが付いて、明確にOFFにできるようになったのはうれしい。マイクもカメラの左右に用意されており、ノイズキャンセリング機能が搭載されている。

  • 本体左側。奥側からACとインジケーター、HDMI、USB-A、USB-C。個人的にはHDMIとUSB-Cは逆にしてほしい

  • 本体右側。奥側からヘッドセット、USB-A、SD。SDカードスロットは半分程度までしか入らないので、MicroSDスロットにして、代わりに(マウス用に)USB-Aを一つ増やして欲しいと感じた

  • コロナ禍でリモートワークと共にwebカメラに関しての注目が集まったが、Inspironもプライバシーシャッターが付いた。右の画像のシマシマが見える状態ではWebカメラは利用できない

チルトアップヒンジも従来よりも改善された。5425/5625共に液晶底部全面をバイオプラスチック製カバーで覆うようになっており、これによって冷却の外気と排熱の空気が混じりにくくなり、より効果的な放熱が期待できるのはうれしい。環境配慮の観点では低VOCの水性塗料、梱包トレイは100%再生紙を使用している。

  • バイオプラスチックによるヒンジカバー。これによって排熱が吸入されにくくなったと感じる。ポツポツが見える素材感は意図的だと思う

  • 本体裏側(5625)。(環境配慮のために)「ゴム足」が細く、短くなっているのがわかる他、ステッカーが一枚だけになり、ロゴ類はほとんどが印刷に変わった。吸気部は大きなスリットが二列ある

  • 液晶パネル側から見ると排熱は4か所から出て、液晶パネルに沿って出るようだ。ノイズに関しては標準でベンチマークやゲーム時には少々気になるが、My DELLのツールで(パフォーマンスを犠牲にして)静音化設定も可能だ

最後となるが、サイズと重量、可搬性について言及したい。5425のスペックは公称が幅314mm、奥行き227.5mm、高さが15.7~19mmで最小構成重量が1.54kg(評価機の実測値は1499g)。5625の方は幅336.78mm、奥行き251.9mm、高さが15.67~18.3mmで最小構成重量が1.87kg(評価機の実測値は1820g)となっている。

Inspiron14よりもInspiron16の方が大きいのは当然だが、重量差が321gと思ったよりも健闘している。実際にバックパックに入れて持ち歩いてみたが、大きさはともかく重量感はあまり変わらない感じだ(バックパックに入れているものが多いため)。

  • 5425評価機の実測重量は1499g。海外PCメーカーだと「1kgを切れば超軽量」のイメージなのと、Inspiron 14という機種で考えると致し方ない

  • 5625評価機の実測重量は1820g。大学時代に2.8kgのノートパソコンを持ち歩いていた事もあり、(一日中、かついで展示会場回れと言われたらイヤだが)バックパックに入れて、車や電車で移動するなら何とか、という感じ

キーボードは大体1.9mmピッチと標準的。キーストロークは0.8mm程度だった。バックライトもついており寝室や機内での入力に有効だろう(消灯、減光、点灯の三段階)。個人的にはキーストロークがもう少し欲しいところだが、ここ数モデルのInspironと同程度であり違和感はなかった。

キーレイアウトは電源ボタン兼指紋認証キーがキーボード右上に配置されている。(筆者のようにDELキーを多用する人はちょっと困るので)やや違和感を持つかもしれないが、電源ボタンは若干キータッチが重くなっているので誤入力の不安は少な目だ。また、BIOS基本設定ではInsriponの液晶を開くと自動的に電源が入る設定になっているので、電源ボタンを押す機会は少ない。

筆者は仕事でHOME/ENDキーを多用しており、この位置が大きく変更されたように見えたが、実際にはFn+←/→でHOME/END入力となり過去の機種と同じ入力が可能だった。タッチパッドは5245が114×79mm、5625が132×90mmとなかなか大きい。

  • 5425のキーボード面。タッチパッドの大きさを稼ぐ意味もあり、かなり奥側に寄せているのがわかる。キーボードレイアウトで変則的になっているのは最上段のファンクションキー部一番右に電源ボタンが配置されている程度

  • 5625のキーボード面。16インチと大きいこともあり、キーボードを奥ギリギリまで寄せていない。キーの大きさは14インチと同じと言っていいだろう

  • どちらのキーボードもバックライト付で、F5キーの位置のファンクションキー、もしくはBIOSから消灯/減光/点灯の切替が可能

  • ファンクションキーとマルチメディアキーの優先はBIOS設定で可能。標準はマルチメディアキーで、ファンクションキーを使いたい場合はFnキーとの同時押しとなる