“クラス感”をさらに出すべく、今後は準レギュラー的な生徒が確立される予定。レギュラー番組ならではの強みを生かしていく考えだ。
「タナカ先生の教室の特徴は、スターばかりの教室じゃないということなんです。気になる人が出てきたら、その先の放送でもっと素性が見えてくるというのがレギュラー番組の良さなので、初回で活躍した人が3回目、4回目の放送にまた出てきたり、そういうキャスティングはどんどんしていくイメージです」(日置氏)
そこから、番組発のスターを生み出すことも視野に入れる。
「最近のバラエティって収録時間が短いし、しっかり番組を当てていかなければならないので、面白いかどうか分からない人をキャスティングしにくいところがあるんです。でもこの番組は、いろんな教科をやるので『どうなるか分からないけど、呼んでみよう』という人が入ってこれる。それをやらないと、次の世代の人が生まれないと思っているので、村重さんみたいに勉強はできないけどバラエティ能力が高いとか、他の得意ジャンルがある人たちが注目されていったら、もっとテレビコンテンツが面白くなっていくんじゃないかと思うんです」(日置氏)
■令和とは思えぬ「非常にコスパが悪い番組」
BPO青少年委員会が、いくつかのバラエティ番組に散見される「他人の心身の痛みを嘲笑する」演出に懸念を示したが、『呼び出し先生タナカ』の場合は、“みんなでおもしろ解答をシェアして笑う”ことで、解答者も救われている。
「誰も笑ってくれなかったらむしろ悲惨じゃないですか(笑)。だから僕らスタッフも、みんなが笑ってくれる解答を選んだり、それを紹介する順番を考えたり、小道具を用意したりと、かなり準備しています」(松本氏)
その会議は、順位発表収録の1週間前に、2日に分けて約8時間ずつ実施。
「まず1日目は採点して、全員の解答を見て面白いものを抜き出す作業をして、2日目はそれを並べていく作業をします。『これだけ出してもウケないから、これでフリをつけよう』とか、『これを出した後にこのイラストを出したらいいんじゃないか』とか考えていくんですけど、第2回で菊地亜美さんに自分の解答を実践してもらうために、季節はずれのタラバガニを取り寄せたんです。そしたら、菊地さんが『この番組、こんなものまで用意してくれるの!?』って驚かれて。『軽い気持ちで書いたことに、こんなにお金かけてアホみたいなことしてくるんだ』と、番組の姿勢を表現してくれてうれしかったですね」(日置氏)
このように、「台本を作っていくのにとても時間がかかるので、収録時間も含めて令和なのに非常にコスパが悪い番組なんです(笑)」(日置氏)と苦笑いするが、スタッフ側が汗をかくことで、次のバラエティスターを発掘するための柔軟なキャスティングを可能にしている面もあるようだ。