4月24日にスタートしたフジテレビ系バラエティ番組『呼び出し先生タナカ』(毎週日曜21:00~ ※きょう15日は20:00~2時間SP)。様々なジャンルから呼び出したゲストに、学校にまつわる“一斉テスト”を挑戦させ、誤答には担任のタナカ先生(アンガールズ・田中卓志)が愛情たっぷりに指導していくという内容だが、どのような経緯で立ち上がり、その特色を出そうとしているのか。
総合演出の日置祐貴氏(フジテレビ)とディレクターの松本泰治氏(LINGUS)に、初回放送の手応えや制作の舞台裏などを含め、話を聞いた――。
■企画書の時点で先生役は田中だった
この番組が立ち上がったきっかけは、日置氏が上司から「教育」をテーマにしたバラエティの企画を求められたこと。そこで、「お勉強的な学科5科目だけではなく、学校で誰もが普通に学んできた副教科も全て取り扱い、視聴者に追体験してもらえたら」ということで、基本の五教科に、家庭科、体育、美術、音楽など実技系教科の要素も加えた“学校バラエティ”の企画書を昨年のクリスマスに出した。
その企画書の時点で、先生役は田中と決めていたという。
「これまで番組でご一緒する中で、本当に面白くて能力のある方だと思っていたのですが、ある日、局の廊下でお会いしたときに、マイナビさんにしてもらった僕のインタビューを読んでくれたと言ってくれて、より好きになって(笑)。そんな中で、この番組はMCの仕事のボリュームが大きくてヘビーなので、他でMCをやっていない人がいいなと思って、ゴールデン初MCの田中さんにお願いしました」(日置氏)
ゴールデンタイムのレギュラー番組は、深夜や特番からの昇格が一般的なルートだが、「探り探りやるくらいなら、いきなりレギュラーでやるほうがインパクトがある」(日置氏)と、最近ではあまり例がない“実績なし”でスタートを迎えることになった。
■他の番組に比べて緊張している様子がない
この番組の特徴の1つは、担任役の田中の存在だ。日置氏は「田中さんとは、高圧的だけじゃなくて、生徒と一緒に考えたり体験したりする、令和の学校の先生像であってほしいですと話したんです。最近の学校は、先生と生徒の関係が対等なので、その空気感を出したいと。田中さんは優しいので、収録でも生徒から何か返ってきたら聞くし、受け止めるし、初回からそれができていたので良かったなと思います。最後の最下位の生徒を“説教バイク”に乗せるというのも、罰ゲームを成績ビリの生徒1人に受けさせるんじゃなくて、タナカ先生も一緒に食らうという形にした意味はそこなんです」と、その魅力を解説。
松本氏は「実は最初に企画を聞いた段階では、タナカ先生vsイケメン&美人の生徒という構造だったので、田中さんがもっと強い感じかなと想像してたんですけど、優しい先生になって良かったと思います」と、キャラクターの方向性を確認した。
生徒のタレントたちが、他の番組に比べて緊張している様子がないのが見受けられたそうで、「それがタナカ先生の醸し出す雰囲気で、良いように作用してますよね」(松本氏)、「何か面白いこと言わなきゃとか、爪痕残さなきゃという空気が一切ないんです」(日置氏)とのこと。
その空気感を象徴するのが、試験を終えると「あの問題どうだった?」と確認したり、順位発表が終わっても感想を言い合ってなかなか帰ろうとしない生徒たちの光景。「放課後の感じがすごくあって、目指していた“学校バラエティ”の色が出ていたなと思いました」(日置氏)と手応えをつかんだ。
この“クラス感”が生まれた背景には、初回の3時間SPで10時間以上、第2回放送の2時間SPでも約7時間に及んだ、長時間にわたる収録がある。初回は想定より2時間押しの収録となったが、「タナカ先生に対して、思っていた以上に生徒たちが『いやいや、こういうことですよ!』って反論するんです(笑)。特に国語で皆さんがすごい言い返すなと思ったんですけど、村重(杏奈)さんが納得せず、『黒板に書いていいですか?』と言い始めたり、そういう僕らが想定してないことが起こりました」と、田中がMCだからこその盛り上がりがあった。