お笑いコンビ・千鳥の大悟とヤギが、田舎町で行き当たりばったりの散歩を繰り広げる異例の番組『ヤギと大悟』(テレビ東京)。昨年12月に第1弾が放送されると、ヤギならではのハプニングや町の人とのふれあいが「ゆるい」「癒やされる」と話題になり、この第2弾が早くも30日(12:00~)に放送される。
企画・演出を担当するのは、こちらも最近話題となった『霜降り明星の校内放送ジャック』(同)も手がける冨田大介氏(シオン 上席執行役員)。いずれも“温かさ”を感じる番組だが、どのように生まれた企画なのか。制作の舞台裏を聞いた――。
■企画書を作る前に決まっていたタイトル
『ヤギと大悟』を企画したきっかけは、冨田氏の子どもが通う小学校で、ヤギを飼っていたことだった。
「子どもが志願して『ヤギ当番』になったんですけど、その様子を見に行ったら、ヤギが校内を散歩しながら雑草を想像以上に食べてたんです。それに、お友達がみんなヤギを触りに来て、ヤギがちょっとしたアイドルになっていたので、これを何か番組にしたいなと思いました」(冨田氏、以下同)
早速ヤギのことを調べると、雑草を1日5kgも食べ、胃が4つもあるという知られざる生態を知り、雑草取りのためのヤギのレンタルサービスがあることも判明。そこから、「雑草で困っている人のところにアポなしでヤギを連れて行く」という企画のベースが固まった。
当然、ヤギが雑草を食べる姿だけで番組は成立しないため、人間の相棒が必要となる。そこで即座に思い浮かんだのが大悟だった。
「この番組は行き当たりばったりでやりたいと思っていたので、いろんな人と自然と打ち解けちゃう人がいいなと思って、大悟さんが候補に挙がりました。それと僕の中で大きかったのは、ヤギはしゃべれないので、1人しゃべりをずっと聴いてみたい人。大悟さんって、普段のバラエティだとノブさんやいろんな人たちがいる中でパワーワードが出るじゃないですか。だから、1人しゃべりになったらパワーワードが連発して面白くなるんじゃないかと思って、大悟さんしかいないと思いました」
まさにヤギありきの企画で、大悟以外に相棒は考えられなかった冨田氏。『ヤギと大悟』という番組タイトルは、企画書を作る前に決まっていた。
■50~60頭のヤギから選ばれたポポ
オファーを快諾した大悟に企画を説明すると、「すごい番組やな」「誰が考えたんや」と、制作サイドにとって最高の言葉が。かたやヤギの選定は、静岡、群馬、東京・多摩など、牧場やレンタル業者を回り、50~60頭に会いに行った。
「自分がヤギを見て詳しく分かるわけではないんですけど(笑)、見ていると愛嬌があったりマイペースだったりと性格が分かってきて、だんだん『このヤギいいな』っていうのが出てくるんです。行き当たりばったりで子どもと会うかもしれないので、角がないというのを条件に、穏やかそうでかわいらしいヤギを選びました」
こうして出会ったのが、静岡の牧場で暮らすヤギ。後に大悟が「タンポポ」と命名したが、結局「ポポ」が定着した。
撮影は、なんとぶっつけ本番。第1弾のロケ地は、雑草がたくさん生えている田舎町をいくつかロケハンし、埼玉県東秩父村に決めたが、スタッフがヤギをロケ現場に連れて事前にシミュレーションを行うことはせず、カメラが回るまで大悟と対面もさせず、ガチンコの“行き当たりばったり”にこだわった。