NHKの連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)の本編がついに8日で幕を閉じた。親子3代にわたる怒涛のドラマは、中だるみが一切ないどころか、回を追うごとに伏線回収劇が出血大サービスで展開されていき、最後まで観る者に希望とサプライズを与えてくれた。制作統括の堀之内礼二郎氏を直撃し、朝ドラ史上初めて3人のヒロインを迎えた100年間の物語をやり遂げた手応えについて話を聞いた。
初代ヒロイン・安子(上白石萌音)と2代目ヒロイン・るい(深津絵里)は、生き別れ状態だったが、そこをつないだのは安子の孫で、るいの娘である3代目ヒロイン・ひなただった。これまでに撒かれた伏線の種は数え切れないほどあり、それが事あるごとに回収されて絆が広がっていき、最後に親子3人の絆がつながった。
堀之内氏によると、すべての物語は脚本家の藤本有紀氏が初期段階から想定していたプロットどおりの展開で、視聴者からの反響や反応を踏まえて変更した点は一切ないと言う。 「藤本さんという方は恐ろしいです。物語の骨子はかなり初期の段階でできていましたが、本当にほとんどその通りになりました。でも、藤本さんは初めから、僕たちにすべての詳細を提示されるわけではないんです。それは、台本の初稿を僕らスタッフが読む時の驚きや面白さもすごく大切にされている方だから」
例えば、最終週で最大のクライマックスとなった安子とるいが再会するシーンにも驚かされたと言う堀之内氏。「藤本さんは、上白石さんの再登場シーンについて多くを語らなかったんです。でも『上白石萌音さんが再び登場されるシーンを描きたいので、スケジュールを確保しておいてください』とだけ言われていまして。その段階では、安子がアメリカに行って過ごしているシーンのためかなと思っていましたが、初めて台本にそのシーンが出てきた時、『これはすごい!』と僕たちも驚きました」
それは、安子役の森山良子と深津の抱擁と共に、若き日の安子役の上白石萌音と7歳のるいを演じた古川凛の抱擁を重ね合わせるという名シーンだった。そういえば、るいが30年ぶりに帰郷した岡山でのシーンも印象深かった。るい(深津絵里)の横にいた錠一郎(オダギリジョー)の姿が、戦死したはずの父・稔(松村北斗)となるシーンに心が震えたのは記憶に新しいところだ。時空を超えた家族の絆に涙した人も多かったのではないだろうか。