「映画や歌舞伎を手がけてきた松竹と、鉄道に関連して文化事業に力を入れてきた東急には、暮らしの中で感動を作っていくという共通のキーワードがあるので、そのDNAを受け継ぎ、映像によって日本全国に感動をお届けしたいということで、手を組むことになりました」という思いを背景に設立された同局。
「“松竹”と“東急”というブランド力を合わせて1つのテレビ局になったということを分かっていただくには、やっぱりこの名称しかないんじゃないかというところで最終的に落ち着きました」と、社名をそのままチャンネル名とした。興行会社と鉄道会社を合体させた名前に、「違和感があると思うんですが、実はこれが大事な部分だと思うんです。スルッと通り抜けていかないで、引っかかるというところで印象に残ると思うので、こだわりの名称です」と胸を張る。
コーポレートカラーは「ロイヤルブルー」に設定し、松竹の「グリーン」、東急の「レッド」と合わせ、「光の三原色になるので、3社が重なり合うことで、いろんな色を出せるテレビ局にしていきたいですね」と意欲。
いずれも100年以上の歴史を持つ松竹グループと東急グループだけに、「歴史の重さ、重厚感というのは、うまく活用していきたいと思います」と、豊富な資産を番組コンテンツに生かす強みがある。開局のオープニング特番として放送する『銀座・渋谷100年の物語~過去・現在・未来 夢を追った街』(3月26日、19:00~)は、この姿勢を象徴する番組だが、それに加えて「面白い企画のネタが身近に転がっていると思うので、そうしたものもうまく切り取って番組化していくことができればと思います」と構想を語った。
■1年かけてゼロから編成表を作り上げる作業
昨年4月から1年かけて番組の編成作業に取り組んできた中村局長。「僕自身、テレビ局で編成の経験は長いんですが、完全にゼロから編成表を作り上げていくというのは初めてなので、最初の3カ月くらいは編成のみんなで“ああでもない、こうでもない”と話し合うのに時間を費やしました。でも、そのアイドリングのような考える時間があったからこそ、形になってきたのかなというところがあるので、非常に有意義な経験をしたなと思います」と充実感をにじませる。
この3月下旬にBS松竹東急、BSよしもと、BSJapanextの3局が断続的に開局する形で、業界ではこれが最後のテレビ局の開局とも言われている。そんなめったにない機会なだけに、「やっぱり僕ら自身がワクワクしないとダメだと思ってるんです。営業の人間がワクワクしてたらスポンサーさんにそれが伝わるし、制作の人間がワクワクしてるとタレントさんに伝わるし、編成の人間がワクワクしてたら番組表を通じて視聴者の方に伝わるので、いかに僕ら自身が楽しめているかというところを大事にしていきたいと思っています」と力を込めた。