ストロークポイントは4段階で調節可能に

REALFORCEシリーズでは、従来よりキースイッチとして「静電容量無接点方式」スイッチを採用する点が大きな特徴だった。この点はもちろんR3も同様で、引き続き静電容量無接点方式スイッチを採用している。

  • キースイッチは、シリーズ伝統の静電容量無接点方式スイッチを引き続き採用。とにかく心地よい打鍵感もそのままだ

打鍵感に関しても同様で、メカニカルスイッチやメンブレンスイッチのキーにはない、独特の心地よい打鍵感もしっかり受け継がれている。従来モデルのユーザーでも、全く違和感なく移行できるはずだ。

とはいえ、進化している部分もある。これまでも静電容量無接点方式スイッチの特徴を活かした、キー入力を検知する深さを調節する機能「APC(Actuation Point Changer)」が用意されていたが、R3シリーズでは深さの調節が4段階に増やされている。

従来までは1.5mm、2.2mm、3mmの3段階調節だったのに対し、新たに0.8mmが追加されたのだ。0.8mmに設定すれば当然、より浅いストロークでキー入力できるようになるため、より素早い入力が可能になる。

  • キー入力を検知する深さを調節する機能「APC(Actuation Point Changer)」が進化。専用ユーティリティ「REALFORCE CONNECT」で、0.8mm、1.5mm、2.2mm、3mmの4段階に調節可能となった

実際にAPCを0.8mmに設定して試してみたところ、意識して操作すると確かにキーを押しはじめて即入力される、といった感覚だった。その直後に、最も深い3mmに切り替えると、しっかりキーを押し込まないと入力されないような感覚で、その違いも十分に体感できた。

高速かつ軽めの力でタイピングする人などは、キーを底までしっかり押し込まずにタイピングする場合があるかもしれないが、そういった場合でもAPCを0.8mmに設定しておけば、ミス無く軽快な入力が行えそうだ。

逆に、APCを浅くしすぎるとミスタイプが増えるという場合にはAPCを深くすればいい。ユーザーのタイピングスタイルに合わせてAPCを設定して快適なタイピング環境を実現できるという点は、他のキーボードにはない大きな魅力と言える。

このAPCの設定は、キーボードの[Fn]+[↑]で全キー一括変更が可能。また、専用ユーティリティ「REALFORCE CONNECT」を利用すれば、全キー一括変更だけでなく、1キーごと個別に設定することも可能。個別設定は最大2種類まで登録でき、個別設定を行えばキーボードのショートカットからも個別設定を呼び出せるようになる。

  • APCの深さは、全キーで一律の変更はもちろん、キーごとに個別に設定することも可能だ

外観デザインは四隅が丸くなり、キーサイズが調節された

ここまで見てきたように、REALFORCE R3シリーズは従来モデルから様々な進化が実現されているが、この他にも変更されている部分がある。

例えば、本体デザインが少し変更されており、角が丸く面取りされたようなデザインとなっている。加えて、R2シリーズではキー周囲の余白部分がかなり切り詰められていたのに対し、R3シリーズでは周囲の余白がやや広げられている。これによって、どちらかというと一般的なキーボードに近い見た目になったと言っていいだろう。

  • テンキーレスモデル「R3HC21」。R2シリーズと比べると、本体の角が丸く面取りされ、キー周囲の余白が大きくなっている

また、R2シリーズではスペースキーがやや長い形状となっていたのに対し、R3シリーズではスペースキーの幅がやや狭められている。このほか、静音仕様のスイッチを採用するモデルが全体で増やされており、無線対応モデルは全て静音仕様となっている。

  • メインのキーボード領域。スペースキーがR2シリーズより狭くなっているが、それ以外は従来モデルからほとんど変わっていない

  • キーボード右上には、NumLkやCapsLk、Bluetooth接続先を示すLEDと電源ボタンを配置

とはいえ、従来モデルからそのまま継承されている部分も多い。キートップに指にフィットする凹みが設けられていたり、前列のキーほど後方への傾きが大きくなっている点などは、従来モデルからほとんど変わっていない。

キーストロークは約4mmで、キーの耐久性が押下5,000万回、Nキーロールオーバーといった特徴も従来同様だ。つまり、デザインは変えても、入力に関わる部分はほとんど変更がなく、この点もファンにとって安心できる部分だ。

  • 正面

  • 左側面

  • 背面

  • 右側面

  • 底面

専用ユーティリティ「REALFORCE CONNECT」では、先ほど紹介したようにAPCの深さ調節以外にも、全キーを対象としたキーマップのカスタマイズや、省電力をはじめとした細かな設定が可能だ。

サイズは、テンキー付きモデルが465×163×30mm、テンキーなしモデルが379×163×30mm。重量はテンキー付きモデルが1.6kg、テンキーなしモデルが1.3kg。

キーボードとしてはなかなかの重量がある点も従来同様だが、それによってボディの剛性は非常に優れており、力一杯キーを押したとしても、キーボード自体がたわむといった印象は皆無。とにかく、安定してタイピングできるという点は、従来モデルから全く変わっていない。

  • キートップは指にフィットする凹みが施されている

  • キーは手前ほど奥に向かった傾斜が強くなっている点も従来モデルと同様だ

  • 底面の足を立てることでキーボード面の角度を2段階に調節できる

  • テンキーレスモデルは重量が1.3kg。試用機の実測は1.321kgだった