――世間から見ると、ビスケットブラザーズさんは近年メキメキ力をつけて、賞レースで優勝をさらっている印象があると思います。何か大きな転換期があったのでしょうか?
原田:2018年頃、相方と揉めたり話し合ったりしたとき、良くも悪くも「自分でやろう」と思い直した瞬間がありました。「自分が強くなればいいんだ」と。相方に任せるのは最終段階でいいというメンタリティーになりました。ただ「解散しよう」という考えではないです。自分でやる努力に相方も含めないといけない。昔はもっとしっかり相方にツッコんでもらうものをやっていたけど「きんも面白いしな……」とずっと思っていて、「きんの面白さをどう引き出そうか」と考えられるようになり、「コンビになってきた」という心境の変化がありましたね。僕らは凸凹じゃなくて凹凹(ぼこぼこ)コンビ。コンビとしてのバランスが取れてきた感じはあります。
きん:2017年に『キングオブコント』準決勝に行ったとき「こんだけウケたらここまで行くんや」と体感しました。そこから1年は、キングオブコント決勝目指して進んだはずが、先に『ABCお笑いグランプリ』の決勝へ先に行かせていただきました。ここでやったネタが、次の年のキングオブコント準決勝で披露するネタ2本のうちの1本になっている。当時は苦しかったけど、全部うまいこと行ったと思います。
――本人を目の前に恥ずかしいかもしれませんが、お互いの魅力とは?
原田:プロフェッショナル感のない人間のなかで一番面白いかもしれないです。一番才能あるんじゃないかと思います。きんは、一番いい形のままテレビに出られたら無敵になる気がします。
――どういう点に才能を感じますか?
原田:11年やればフォームが崩れたり、ちょっとずつ変化すると思うんです。でもきんは、初めて会った11年前から面白さがぜんぜん変わっていない。その面白さがただ人に伝わっているだけ。体型の変化とは別に、ぶっとい芯があります。きんは18の頃からお笑いをめっちゃ見ていたので、理想にがんじがらめになりそうなんですけど、そこがわりと柔軟。「この人間には一生勝てへん」と思うヒーローみたいな存在になってくれたらいいな、というデカい存在感を感じます。
――きんさんにとって原田さんの魅力は?
きん:シンプルに、めっちゃおもろいです。
――最大級の褒め言葉ですね!
原田:いや……ありがたい機会をもらいました。こんなこと言ってもらえないですから、普段は(笑)
きん:ハハハ! 例えば漫画でも映画でもいいんですけど、「この俳優さんのこの表情すごいな」とかそれぞれ秘伝のツボがあると思うんです。彼はそういうツボを突くのがうまい。全員共通のツボを突いたときにはむっちゃエグいことになる気がします。ネタ合わせのときに笑い止まらなくなったりするんですよね。
原田:たぶん、きんのツボにもお客さんのツボにも、他の芸人のツボにもなる最強のツボってあると思うんです。しかも“僕らだけが突ける最強のツボ”を見つけられたら、キングオブコントとか、賞レース全部優勝できる気がします。