――写真集のインタビューでは、芸能界引退を明言されています。

そうですね、今はそういう風に言わせてもらっています。自分自身、アイドルの世界しか知りません。この世界は私に合っているかもしれませんが、もっといろいろ見てから決めてもいいかなと思う年齢、立ち位置だと考えています。コロナ禍で何をするにもしても難しい時期で、ちょっとおこがましい話かもしれませんが、もうちょっと自分探しをしてみたいです。学生生活もちゃんとできていないし、何をもって“普通”と言えるのか。普通のことをしてきていないので、ちょっと人生の夏休みをいただいて、その間に、もっと新しい自分を探し、そして新たな活動ができればと思います。

――人生の夏休み。まだ漠然としていると思いますが、今後どのようなことをしたいですか?

したいことはあります。でも、外に出ていろんなものを見たら価値観が変わってしまうかもしれないので、今は安易には言い難いです。いずれにせよ、ダイレクトに人の心に問いかけ、添い遂げるようなお仕事をアイドルとして9年間やってきました。それはすごく大事にしたいです。これからも向き合い方や方向性は変わるかもしれないですけど、人のためになることはしていきたいと考えています。

――先ほど「写真集は卒業を意識して作ったわけではない」という話もございましたが、写真集のタイトル「なぜ、忘れられないんだろう?」は、芸能界引退を背景に考えると、すごく深い意味を感じます。

どうなんですかね。タイトルや表紙は全部、秋元康先生が決めてくださっています。どういう意味が込められているか正解は私自身わかりません。最初にいくつかタイトルの候補をいただいたのですが、どれも一貫して後に引くような、力強い女性像がありました。それが先生の私に対するイメージなのかもしれません。これはきっと、先生からの「これからも頑張れ」というメッセージなのかなと。ファンの皆さんも、それぞれご自身の解釈で読んでくださったらうれしいです。

――「そんなこと言われたら忘れられないよ!」というファンの方も多いと思います。

それはそれで、ふと思い出してくれたらうれしいです(笑)

――この世界に戻ってくるかもしれませんが、今時点ではあまり考えていない?

そうですね。仮にどんな形で戻ってきたにせよ、“乃木坂46の寺田蘭世”はもういなくなってしまいます。アイドルとしてはこれが最後になるので、いろんな思いでこの写真集を手にとってほしいです。

――いろんな場面でファンの皆様にお別れの挨拶をすると思いますが、今回はマイナビニュースを通じて、ファンの皆様へのお言葉を頂戴させてください。

本当に、今までありがとうございました。私がこの写真集を「大切な人へ」というテーマに掲げられたのはファンの皆様のおかげです。私が素で接してきたからこそ、ほかのメンバーのファンの方より団結力がある熱い方が多い印象です。写真集も、ちょっと悲しかったり、うれしかったり、いろんな気持ちがあると思います。ぜひ手にとって、いろいろ噛み締めてください。

■寺田蘭世(てらだ・らんぜ)
1998年9月23日、東京都出身。2013年に乃木坂46・2期生オーディションに合格し、デビュー。カップリング曲「ボーダー」やアンダー曲「ブランコ」「滑走路」では、センターを務め、17thシングル「インフルエンサー」で初の選抜入りを果たす。グループのファッションリーダー的存在でもあり、清楚で上品な出立と力強いパフォーマンスのギャップに魅了されるファンが続出。コラムニストとしても活躍。2021年12月12日のオンラインイベントをもって乃木坂46を卒業し、芸能界も引退する。