上白石が演じる安子は、1925年3月22日、日本でラジオ放送が始まった日に岡山市内の商店街にある和菓子屋「たちばな」で生まれる。御菓子司「たちばな」の看板娘で、あんことおしゃれが大好きなごく普通の女の子で、ラジオ講座をきっかけに英語を学び始めるという役どころだ。
「私、現代劇より昭和以前の役のほうがしっくりくるんです。昭和っぽいって言われることも多いので、その時代に馴染むようにということはあまり意識しなかったです」と話す上白石だが、時代背景は意識。「社会の雰囲気も年齢の捉えられ方も今とは全然違い、安子は16歳でちょうどいい見合いの頃合いだと言われる。時代背景をしっかり汲みながら演じたいと思いました」。
初登場時の安子は14歳。現在23歳の上白石は「つかむのがすごく大変でした」と言い、「今の14歳と比べるととてもピュアで、もっともっと幼い印象もあって、でもすごく大人びていて、声の出し方や表情の作り方は監督と相談しながらやりました」と振り返る。
また、「無垢で人の目をあまり気にしてない感じがあるのかなって。幸せなときは幸せだし、怖いときは怖いし、という100%の感情で揺れ動いているのかなと感じながら演じました」と説明。「ピュアにピュアにと思いながらピュアをやるのはピュアじゃないので、脚本に書いてある温かさをそのまま届けたいという純粋さを大切にしていました」とも話した。
安子が英語を学び始めるきっかけを与えるのが、SixTONESの松村北斗が演じる英語が堪能な好青年・雉真稔(きじま・みのる)。第1週で安子と稔の出会いが描かれる。
上白石は「安子にとって稔さんは、憧れの年上のお兄さん。第1週では、それが恋愛感情なのか、憧れなのか、あまりわからないというのが安子の中にあるのかなと想像していたので、初めてほんのりした甘い夢みたいなものを持ったときの気持ちとか、その初心さを意識しました」と明かす。
そして、「物語の幕開けは本当に温かく幸せに満ちています。ここから100年の中でいろいろなことが起こると思いますが、この温かさはずっと根底に流れるのだと思います。日々を懸命に生きて、親から子へと愛を渡していく、命の物語です。このリレーを、『ラジオ英会話』がどうつなぐのか、それによってどう物語が動いていくのか、楽しみにご覧いただけるとうれしいです」とドラマの魅力を伝えた。
1998年1月27日生まれ、鹿児島県出身。2011年、第7回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞。2011年のNHK大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』でドラマデビュー。近年は、TBS系ドラマ『恋はつづくよどこまでも』(2020)や『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(2021)で主演を務め、NHK大河ドラマ『青天を衝け』(2021)などにも出演。2021年度後期連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』でヒロインを務める。9月には、初のエッセイ集『いろいろ』を出版し、発売から1ヶ月で7万部のヒット。歌手としても活動し、10月13日にダブルA面シングル「I'll be there/スピン」をリリースした。
ヘアメイク/山田佳苗 スタイリスト/嶋岡隆・北村梓
(C)NHK