巻末の解説では、詩集に触れるのは「日曜日の公園」のようなシチュエーションが良いと勧めている。その理由は「いわゆる、わかりやすいポジティブな映像を見ながら、ネガティブな詩を読んだり、朗読を聞いたりすると、バランスが保てる。そこで違和感にギャップを感じて、自分が今何を思うかを見つめ直すことになる」からだという。

そして、夜に部屋で一人お酒を飲みながらというような詩集の触れ方に対しては「僕は連載で月に1回とかだったからいいんですけど、この詩集でまとめて13年分のネガティブを受け取るとどうにかなっちゃう可能性があるので、非常に注意です」と促した。

今作にまとまった詩の連載を始めたのは13年前。20代から30代へと移り変わっていく山田の心のうちに触れることができる一冊とも言えるだろう。

「20代の頃は、基本的に人を拒絶していました。怖かった。今は基本的に受け入れます。それが一番大きな違いだと思います。何かきっかけがあったわけではなく、13年間で色々な経験をしているので、徐々にそうなっていったんじゃないかな。ただ、今の自分は人格が形成されているのかと言うと、別にそうは思わないし、むしろ捨てていってる(笑)。どう見られてもいいって本当に思うので。たまに気にすることもありますけど、それも他者を見ていると限りなく少ないほうだなって」

「その人がどういうルートで僕に関する情報を得たのか、例えば、舞台挨拶なのか、週刊誌なのかによって(見え方は)全然違うじゃないですか? 僕と直接話したことがないのに、何か別の情報を受け取って僕を判断する人には弁解する気もないというか、フォローする気も起きないんですよね。そもそもそこで判断してる時点で、その人には僕と仲良くなる気がないので。つっぱねはしないけど、『別にいいよ、俺はこの状態だから』と思います」

■プロフィール
山田孝之
1983年10月20日生まれ。鹿児島県出身。1999年に俳優デビューし、2003年に『WATER BOYS』(フジ系)でドラマ初主演。主演をつとめた映画『電車男』(05)は社会現象にもなった。その後『闇金ウシジマくん』シリーズ(12~16)、『勇者ヨシヒコ』シリーズ(11~16)などのドラマで存在感を発揮。主な出演映画は『クローズZERO』シリーズ(07~09)、『凶悪』(13)、『映画 山田孝之3D』(17)、『50回目のファーストキス』(18)、『ハード・コア』(18)、自身のドキュメンタリー『No Pain, No Gain』(19)など。2019年には主演ドラマ『全裸監督』(Netflix)が全世界に配信され人気を博す。近作の主演は映画『はるヲうるひと』(21)、『MIRRORLIAR FILMS Season1 さくら、』(21)がある。また、映画『デイアンドナイト』(19)ではプロデュース、映画『ゾッキ』(21)で長編監督デビューした。

スタイリスト:五月桃(Rooster)
ヘアメイク:灯(Rooster)
シャツ:64,900円/YOHJI YAMAMOTO(ヨウジヤマモト プレスルーム)