各局ではリアルタイム視聴の促進へ“縦の流れ”を意識した編成を組んでいるが、今回の改編でその姿勢を顕著に示したのが、フジテレビだ。土曜日を、19時~『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』、20時~『新しいカギ』と枠移動し、21時からの単発枠『土曜プレミアム』もお笑いバラエティを増強させることで、「笑いの土曜日!」と銘打った。さらに、23時10分からは『さんまのお笑い向上委員会』も控えており、週によっては4時間40分にわたってお笑い番組が編成されることになる。
フジの中村百合子編成部長は「学校で話題になる、そこから社会現象になっていくという形で、『これを見ないと話題についていけない』となるように成長して、『土曜日のフジテレビはやっぱり面白いな』と思っていただきたい」と狙いを語る。
さらに、月曜22時にカンテレ制作の連続ドラマ枠を移動し、看板枠“月9”から連ドラを連続編成。カンテレの島本元信東京編成部長は「週の始まりでもある月曜において、明日への活力にしていただけるような、月曜9時からのトータル2時間ドラマ編成という形になることを目指しております」と意気込んだ。“月10ドラマ”第1弾は、綾野剛主演の『アバランチ』を放送する。
なお、現在月曜22時で放送中の『所JAPAN』が火曜21時に移動することで、火曜日は19時から23時(21~23時はカンテレ制作)まで、バラエティ番組が4段積みとなり、こちらも“縦の流れ”を強く意識した編成となる。
■『モヤさま』スピンオフも…各局「早朝帯」を開発
テレビ東京は、07年にスタートしたバラエティ番組『モヤモヤさまぁ~ず2』を、日曜21時台から土曜23時台に移動・縮小。それに加え、土曜早朝帯にスピンオフ番組『あさモヤさまぁ~ず2』(5:30~)を立ち上げる。本編とは違う街を歩く内容で、伊藤隆行プロデューサーは「起きた時にあの空気感でやってるのは、もしかしたら面白いのでは。ちょうどいい時間というのはリアルタイム視聴では大事。制作者としてはけっこうワクワクすることではあります」と期待を示した。
こうした試みは、4月改編でTBSが『バナナマンのせっかくグルメ!!』(日曜20:00~)に加え、『バナナマンの早起きせっかくグルメ!!』(日曜6:00~)をスタートした例もあるが、テレ東では以前から『家、ついて行ってイイですか?』(水曜21:00~)のスピンオフ『家、ついて行ってイイですか?(明け方)』(月曜27:55~)を編成している。
また、テレ東では『ハイパーハードボイルドグルメリポート』で知られる上出遼平氏が手がけるミニ番組「蓋」を、9月7日から14日まで早朝帯で断続的に放送中。“停波帯”と呼ばれる時間帯において、上出氏がHIPHOPグループ・Dos Monosとタッグを組んだ取り組みで、同局は「これまであまり注目されてこなかったド深夜と言いますか、早朝と言いますか…テレビ放送の日付の切り替わる時間帯に、これまであまりやったことのない“コンテンツ”を放送することになりました。一種の“上出ワールド”を期待しています」とコメントしている。
ほかにも、MBSでは6月から土曜早朝帯にミニ枠でループアニメ『よるわまわるよ』を放送し、現在第2弾を準備中。スポットライトを浴びることなく実験的な“遊び”ができ、SNSも動かない「早朝」という時間帯でのこうした取り組みは、録画視聴が増える中で、テレビをつけてふと出会うコンテンツの魅力を認知する役割も果たすと言える。今後、他局を含めて注目したい流れだ。